怖がらない ページ26
(本当になにも怖がらない…)
あれから毎日毎日あらゆる手を使い、アルトを怖がらせようとしているが一向に怖がる兆しがない
ルシアは頭を抱えていた
食事中向かい側からナイフやフォークを顔すれすれに投げてやればそれを引き抜いてそのままそれを使って食事を続ける
花畑にいきたいといったので連れていき、はしゃいでいるのが気にくわなかったので花をすべて燃やしてやった
すると燃やされていない近くの草を使って冠を作り満面の笑みで頭にのせてくる
落とし穴を掘れば落ちた先の底から鉛筆でクライミングを始める
影から思い切り脅かしてやればほっぺをムニムニと揉まれる始末
(ダメだ、通用しない…怖いものなしというのは本当のようだ。何をやっても笑うばかりで何なら感謝されてそのお返しをしてくる。何てポジティブ精神だ…流石にお手上げだろこれは…)
そんなルシアにミノスは言った
「えっと、失礼を承知で申し上げたいのですが…この際もう諦めてみては?」
「はぁ!?」
ミノスの発言にルシアは胸ぐらをつかんで揺らした
「魔界の支配者の私があいつをつれ回せと!?あんな貧弱で何しでかすかわからん奴をか!?」
「僭越ながら!アルトが怖がらないのはルシア様を完全に信頼しきっているからです!」
恐怖で涙ながらに言うミノスに手が緩む
「何?」
「そもそもです!ナイフとフォークを投げたあと頬を彼が怪我した際、早急にルシア様は怪我の手当てをなさいました!花畑に行き花を燃やした時だってアルトが怪我しないように後ろに下がらせましたし、落とし穴に落とした際も下に藁を敷き詰めこれまた同じく怪我をしないようにしてきました!影から脅かしたのだってそもそもルシア様の姿を既にアルトは認知済みです!そのとき怖がってないんですから寧ろ構ってくれたと思ってはしゃぐのも当然ですよ!」
ミノスの発言はもっともだった
そもそもルシアは冷酷で残虐、無慈悲に振る舞ってはいるものの、アフターケアを重んじる性格なのだ
リスクにはそれ相応の見返りを設けるし、怪我をしているものがいればすぐさま手当てをする
部下に危害を加えるときにも翌日に響かないようにしないように手加減している
つまり
「ルシア様は知らず知らずの内にアルトを味方と捉えているんです!仲間として!それ相応の対応を無自覚に行っているんです!」
「なん…だと…」
周りを見ればアレーもコレーもスカルもうんうんと頷いている
アルトもキョトンとしているが目が合うとにっこり微笑んできた
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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