獲物 ページ14
(あー…)
ルシアは目に映る光景を眺めていた
と、言うのもルシアは影の中から外の景色を見る事ができるし聞く事もできる
つまり今彼女の目に映っているのはアルトのいつもの風景なのだ
しかしそれは一般的な観点からして常軌を逸していた
「オイこらアルビノ!早く掃除しろ!役立たずが!」
「外に無闇に出られないからって甘えてんじゃねぇよバケモノが!」
こき使い無理をさせる男達
「本当に何で私達がこんな奴の面倒見なきゃいけないのよ。ホンっと最悪。見てるだけで嫌気がさすもの。」
「ねぇ?とっととくたばってくれないかしら…」
「そう言わないの。死んだら私達の責任になるのよ?」
「そうよ。我慢しましょう。」
自己安否の事しか考えない口減らず
「ヤーイ真っ白おばけー!」
「お前なんか村から出てけ!」
無知で愚かな事この上ないクソガキ
(なんて奴等だ…クソ…)
どれもこれもルシアとって嘆かわしく…
(最高の標的を前にして何もできないなんて…!)
絶好の餌であった
この手の輩は大抵意地汚く自己愛に溢れた願いをする者
そして最もルシアを楽しませる反応をする者達だった
ルシアはすぐにでも誑かして契約を結ばせたかったが問題があった
(こいつ等全く悪魔を知らないとは…)
ルシアは喚ばれれば契約を交わせる
アルトの時は喚ばれたあと気紛れに叶えてやろうとしただけ
本来なら即刻帰る予定だったのだ
低級悪魔であれば気分でちゃちな願いを叶えたり誑かしたりとかなり自由だが最高位悪魔のルシアはそれが叶わない
今現在契約中の今、喚ばれない限り願いを叶えられないのだ
運の悪い事にこの村は宗教に疎い様で悪魔やら神やらを全く信じていない
これでは自分の召喚方法どころか低級悪魔すらも認知が難しい
縋っているのが己のみなら尚更である
(何て焦らしだ…!こんな絶好の獲物を前にしてじっとしていろなど拷問に等しい!今すぐにでも絶望させてその阿呆面を拝んでやりたいものを…!…かと言ってアルトに広めさせようとした所で現状を見る限り期待はできそうもない…誰も信じないからな…ハァ…)
影の中でためいきをドッとつく
(ったく…こんなの見せられたんじゃ溜まったもんじゃない!)
アルトは未だに任せられた膨大な量の仕事をこなそうとしていた
洗濯、食事の用意、掃除その他諸々
その幼い体でこなすには間に合わない仕事量
これを毎日やらせている奴の気がしれない
…とは彼女は思わない
現にルシアはミノスに魔界一と評される広さの城の管理、掃除、諸々の雑事をさせているからである
(少しばかり手伝ってやるか…)
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闇鍋ソース(プロフ) - ナイフさん» ありがとうございます!今後も作る機会があれば続きを書きますのでよろしくお願いいたします (2019年8月17日 1時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
ナイフ(プロフ) - シリアスとギャグの使い分けがとても巧で、あっという間に最後まで読んでしまいました。とても面白かったです……。素敵な作品をありがとうございます。 (2019年8月16日 23時) (レス) id: db7c72b981 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - いちごシロップさん» コメントありがとうございます!頑張らせて頂きます! (2019年5月2日 2時) (レス) id: a314e0ab78 (このIDを非表示/違反報告)
いちごシロップ - 悪魔と人間が友達になる、って冒頭からほっこりしちゃいました。でもシリアスな場面もあって…。とにかくとても面白いです!これからも頑張ってください! (2019年5月1日 23時) (レス) id: 99dc49cbe7 (このIDを非表示/違反報告)
闇鍋ソース(プロフ) - まゆみさん» 人外×人間が大好きなんですよ…! (2019年3月31日 19時) (レス) id: 32007db41f (このIDを非表示/違反報告)
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