冷酷悪魔と筆談少年

ご飯 ページ11

「食べるペース速いのはお腹空いてるからわかりますけど何でこんなに食べるんですかー！供給が追いつかないですよぉ！」

『おかわり！』

「うわぁぁぁん！」

嘆くミノスにルシアはあくびをしながらケラケラ笑っていた

「お前の無様な姿見てちょっとスカッとしたな。まぁ頑張れ。」

「ルシア様まで酷いですよ！この悪魔！人でなし！」

「まぁ人じゃないし悪魔だからな。」

「うぅ…！」

「オラ！嘆いてる暇があったらさっさと次の料理を運んでこい！」

「ギャー！」

ルシアに蹴飛ばされミノスは泣く泣く厨房へ走って行った

(にしてもよく食うなぁ…)

多少汚らしいとはいえその姿は嘘偽り無く喜んでいることがわかる

「ねぇねぇルシア様ー！契約解消できたらあの人間食べていい？柔らかそうだしきっと美味しいんだろーなー！」

アレーは細長い舌をチロチロ出して舌なめずりをした
確かにアルビノの肉は希少
味も絶品だ
しかし…

「だめだ。私のポリシーに反する。」

「ちぇー…残念…」

ルシアは自分の人間を攻撃する判断基準は汚らしい願いを持つ契約者か自分に攻撃してきた者だけ

そのどれもアルトには当てはまらない

「今度また契約者の肉を持ってくるからそれまで待て。できるな？」

「はぁい…」

アレーはションボリしながら姉のコレーの元へ去っていった

(さて、どの様にして怖がらせるか…)

ミノスの提案を真剣に考え始めたルシアだったがその手を誰かが握った事によりその思考は止められた

「あ？」

見るとアルトが汚れた手で自分の手を握っていた

「な、何をする汚らわしい！」

すぐさま引き抜こうとしたがアルトはスッと肉の刺さったフォークを突き出してきた

「な、食べろと言うのか？」

肯定の意を示すが如くアルトは首を縦に何度も振った

(契約者の命令は絶対…となればこれは命令に入るのだろうか…)

チラとアルトの顔を見れば彼は笑顔でルシアが食べるのを待っていた

(…やむ終えまい)

ルシアはフォークに突き刺さった肉を口に含み咀嚼した
人間の食べ物とはいえ別に食べられない訳ではない
ただ味がしないだけである
食感は悪くなく、その肉がきちんと調理され下ごしらえも手を抜くことなく行われた事が伺えた

(ミノスも腕を上げたな…)

そんな事を考えているとアルトが心配そうにこちらを見ていた
そしてノートには

『おいしい？』

と書かれていた

「あぁ。」

ルシアは素っ気無くそう一言だけ返したがアルトは満足そうだった

寝→←契約の穴

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