存在 ページ9
Aside
私は到着すると、リヴァイに先に行くように伝えて自室に向かった。
目薬どこだっけ？
アレルギー症状が酷くて死にそう。
私が潔癖症なのはこれが始まりだったなぁ。
私はそんな風に考えつつ、目薬をさし、みんなのところに向かった。
目薬あんまり意味ないし。
目が痛くて死にそうだけど、話すことは話さなきゃ。
私は目をこすりながら歩いていた。
だから会議室のドアにもろにぶつかってしまった。
痛いところが増えたよ…
私は目が痛いのとドアにぶつけた頭が痛いので涙目になりながら部屋に入った。
「お待たせ。私もまだ読んでないんだけど、紙見つけたよ」
私は机にその紙を置いた。
みんなが夢中で覗き込む。
私も見ようと思ったけど、目を開いてると痛いから、読んでもらおう。
「誰か読んでくれる？見えないから」
私は座ろうとしてイスに立体機動装置を思い切りぶつけながら言った。
あ、今誰か笑った。
ハンジだな！
後で削がなきゃ。
「Aはレイス家の本当の長女で、父親がロッド・レイスだってことが書いてある。これはもう私たちも知ってるよね」
ハンジが言った。
いやいや、私は自分の名字がレイスってことしか知らないんですけど。
「それで、記憶を消したって。Aの記憶が所々ないのはこのせいだね。会った気がするってのは多分事実だよ。でもこの下に書いてあることの意味がよく分からないな」
紙を動かす音がしたから多分ハンジは紙をこっちに向けたんだろう。
だから見えないんだって。
「あ、見えないのか。えっとね、記憶を取り戻すカギは力を持っている者、だって。意味不明だよね。書いてあるのはこれだけだよ。ん？裏があった」
紙をめくる音が聞こえた。
しばらくの沈黙の後、ハンジは口を開いた。
「Aは正妻の子供だけど、結婚前に身ごもった子供だって。都合が悪いから地下街で産んで捨てたって。でも父親の弟が様子を見に行ってたみたいだよ。これを書いたのはその人物だ」
私は捨て子だったんだ。
両親にとって都合の悪い存在だったから捨てられたんだ。
存在するべきではなかったんだ。
私はもっと何か違う理由があると思ってた。
そう信じてた。
いや、信じたかっただけだ。
この世界は残酷だ。
なんか涙が出てきた。
私は目をこする時に涙を拭った。
でも、止まらない。
なんで？
「目が痛くて死にそうだから部屋行くね」
私は逃げるように部屋を出た。
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
