居ない ページ46
リヴァイside
Aが散歩に行くと言って出て行ったっきり、帰ってこない。
ついでに訓練でもしているのかと思い、特に深く考えなかったが、もう外は真っ暗だ。
流石にここでは訓練はできないだろう。
他の兵士にも聞いてみたが、誰も目撃者はいない。
もちろん部屋にもいない。
どこに行った？
ここに居るもの総出で探しても見つからない。
まさか…
誘拐された？
Aの立場を考えれば、ありえなくもない。
訓練場は森に面していて、一般の者は入れない。
だが、柵を跨げないこともない。
何者かがここに侵入し、Aを誘拐したのか？
俺はその考えをエルヴィンに話した。
「Aはそこらの誘拐犯にやられるほどやわじゃないだろう？」
確かにそうだ。
Aなら返り討ちにするだろう。
「背後から襲われたら？気絶させられたら？」
エルヴィンは少し考えた。
この間にもAが…
「確かに可能性としてはあるな。すぐに憲兵団に連絡しよう。もちろん、我々も捜索を開始しよう」
俺は部屋を飛び出した。
一体どこから探せばいい？
手がかりはゼロだ。
その時、クソメガネが前方から走ってきた。
「今日、ここに出入りした人間を調べたんだ！そしたら、憲兵と駐屯兵が数人、Aが散歩に出た少し前にここに入ってるんだ！」
なんだと？
俺は書類をひったくった。
そいつらの配属されているところは同じ。
ここからは程遠い…
「ユトピア区だと？」
ウォール・マリアを除いて、1番北じゃねぇか。
とは言っても数時間で着く。
「多分、そこにいる可能性が高いと思うんだ。最近、憲兵や駐屯兵による誘拐が多発してるからね」
そういえば、そんな知らせがあったな。
だが、兵士を狙うか？
いや、Aは女王だ。
身代金はバカにならない額を要求されるだろう。
それとも、売るのが目的か？
俺は早速ユトピア区に向かう準備を開始した。
どうか、無事でいてくれ。
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
