誘拐 ページ45
Aside
私が調査兵団の方に来てから数時間後、私は着替えて訓練場を一人で散歩していた。
その時、誰かから口元にハンカチを当てられた。
まずい。
そう思った時にも、意識が遠のいていく。
私は気を失った。
意識を取り戻したのは何時間後か、それとも何日後なのか、私には分からない。
そしてここがどこなのか、それも分からない。
窓がないから、地上なのか、地下なのかも分からない。
この場所にいるのは私一人だけ。
手も足も縛られて、動けない。
声を出そうにも、口を開けられない。
それからどれくらい経っただろうか、時間の感覚がない。
人が入ってきた。
私は慌てて気を失っているふりをした。
薄眼を開けて見てみると、一人じゃない。
ゴロツキが少なくとも10人はいる。
そのリーダー格に見えるのが、ゴロツキの一人だった。
地下街にいた頃に見たことがある。
名前は知らないが、関わり合いにならない方がいいやつだ。
それがなぜここにいるのか。
私は再び目をつぶった。
「まだ目を覚まさないようだな。それで、こいつ、本当に金になるんだろうな？」
誰か一人が言った。
身代金目的の誘拐？
「あぁ、なるに決まってるだろ。女王さまだぜ？しかも調査兵団の幹部だ。兵団側としちゃ、どうにかして取り返したいと思うだろうな」
やっぱり身代金が目的なのか？
「それにこいつは顔もいいしな。同じ調査兵団のリヴァイの女らしいが、あいつにはもったいないな。きっと貴族のおじ様方も満足だろう」
私を…売るということ？
私は女王だから手は出せないはず。
でも女王なんて、形だけだ。
「売っぱらっちまう前に、俺たちで楽しもうぜ」
やっぱり売られるんだ。
それに楽しむって…
私は丸腰。
体格でも圧倒的に不利。
急に口を塞がれていたものを取られた。
「どうも、女王陛下。抵抗しない方がいいですぜ？」
私が抵抗すると、リーダー格の男がそう言った。
そして一人が私のジャケットに手をかけた。
やめろ。
汚い手で触るな。
「やめろ。私に手を出したら、どうなるか分かってるか？」
私がそういうと、男たちは嘲笑った。
そして私の服のボタンを外していく。
やめろ。
触らるな。
汚い。
「…助けて…リヴァイ…」
私は誰にも聞こえないような声で呟いた。
誰か…
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
