直談判 ページ37
ハンジside
私はリヴァイとAを追っていた。
私たちがついた頃には、Aは総統の首筋に剣を突き立てていた。
「なぜそういう決断に至った？」
Aは私たちに気づいていないようだ。
私たちはAの剣を無理やり収めさせた。
すごい力だ。
非力なAはどこに？
「それは君を失うわけにはいかないからだ。君は女王なんだ。もう少し自覚を持ってくれ」
総統の返しに、Aは鼻で笑った。
心底バカにしているような目総統を見下ろしている。
「女王である以前に私は調査兵だが？それは民衆も知っているはずだろ？私が参加しないと知ったら、腰抜けだと思うだろうな？参加して戦死した方がいいんじゃないのか？あ？」
Aは総統の胸ぐらを掴んだ。
私たちが止めようとするとAは睨みつけてきた。
手を出したら殺すとでも言いたげな目だ。
血が上って目は赤いし。
「それになんで私が死ぬ前提なんだ？私の実力を知らねぇのか？なんならここで実演してやろうか？お前のうなじを削いで」
Aは剣の持ち手に手をかけた。
その時、ドアが開いた。
エルヴィン、ピクシス司令、ナイル・ドーク、そしてヒストリアが入ってきた。
Aは気にしていないようだ。
ていうか、エルヴィンいつのまに？
「遠慮させてもらうよ。君の実力は重々承知だ。ただ、リスクはおかせない」
Aはまた鼻で笑った。
そして冷酷な笑みを浮かべた。
「リスクをおかさないのなら、進歩は得られないだろ？それに壁外調査にはどうせ参加させるんだろ？ガチガチの完全守備で。そんなのになんの意味がある？」
Aは手を離して壁に寄りかかった。
そして私たちを見回しながら言った。
「お前らは自由が欲しいだろう？そのために努力しようとする気持ちが、分からないのか？自由が欲しいとか言っておいて、努力するのを忘れたら、何もならないだろ？」
Aはそう言って笑った。
漏れた声は、狂気じみていた。
「だから私は邪魔する奴は誰であろうと排除する。自由を得るのを阻むものは、巨人と変わらねぇだろ？だから誰であろうと、この壁の中の人類全員を殺すことになろうと、自由を得るためなら実行する。自由を得るためなら、私はなんだってする」
そう言ってAは剣を抜いた。
そして小さく笑った。
完全に狂ってない。
まだ、救える。
私はAの方に歩き出した。
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
