発表 ページ32
ハンジside
私はAにバイオリンを押し付けるように渡した。
Aは私を思い切り睨みつけたけど、観念したようにバイオリンを構えた。
Aは弾き始めた。
もうすでに練習済みの曲なのだろう。
それにしても、上手すぎない？
ちょっと前に練習始めたんじゃないの？
エレンとか、顔真っ赤だよ。
まだ諦めてなかったのかな？
まぁいいや。
リヴァイはAを見つめている。
でも気づいてるのかな？
若干口開いてるけど。
そのくらい上手かった。
弾き終えた時には拍手喝采だった。
「ねぇハンジ。ピアノは弾かなくても良くない？」
Aが私に言った。
私が答えようとすると、Aが消えた。
リヴァイがAを掴んでピアノのイスに座らせていた。
「俺のために弾け。他の奴は気にするな」
それでもAは反抗してる。
そんなに引きたくないならいいと言おうと思ったけど、その時ちょうど、Aが諦めた。
しょうがなくAはペダルに足をかけた。
そして弾き始めた。
さっきの曲と似ている。
同じ曲なのだろうか。
バイオリンも上手かった。
でもピアノの方が上手い。
その才能、ちゃんと使えば結構稼げると思うけど。
私、Aの弾く曲なら喜んでお金を出すけど。
弾き終わったAは小さくお辞儀をした。
拍手の中、Aは少し照れているようだ。
いやぁ、いつものことながら可愛いね。
「これ、なんて曲なの？」
私は気になって聞いてみた。
聞いたことない曲だけど。
「これね、外の世界の本に載ってた曲なの。バイオリンはそれを編曲したんだけど。どっちも同じ曲。曲名は、幻想即興曲、だったかな？」
外の世界の本に載っていた曲？
そんなのあったっけ？
なんかあったようななかったような。
「まだ練習中なんだけどね。下手だったでしょ？」
そこにいた全員が首を振った。
これが下手なら他の人はどうなるの？
先生がいいのか、才能なのかは知らないけど、この短時間でよくできるなぁ。
私なら絶対無理。
やっぱり才能なんだろうなぁ。
「これでいいでしょ？もうここでは練習しないからね。もうピアノもバイオリンも懲り懲りだし」
Aはそう言って出て行った。
また聞きたかったなぁ。
まぁ今度頼もう。
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作者名：カシオペア | 作成日時：2017年9月16日 8時
