自己中だね、ごめん〈arkt〉 (ページ11)

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あの後山田といのちゃんに家まで送ってもらって、

ついに

いたじゃんのロケ日。

「おはよう大ちゃん。」

全然寝れなくて何時もより早く楽屋にいくと、
既に薮くんがいた。

「あ、おはよー薮くん。今日早くない？」

鞄をおろし、薮くんからみて右の椅子に腰掛けると首を傾げ問う。

俺の問いに薮くんはきょとん、とした表情を浮かべたがすぐに声を上げて笑ってきた。

「それ、大ちゃんが言う？いつも遅刻気味くせに、なんで今日ははやいの？」

「へ？あっ、あー…えっと、今日のロケ楽しみでさ！！」

必ずと言っていいほどに遅刻する俺が今日に限って時間前にきてるから、薮くんは不思議で仕方がなかったみたい。

薮くんはふーん、とだけ相槌を打つと「なにか飲む？」と積極的に立ち上がり、ポットの前に移動した。

「……あ、うん、じゃあ、レモンティーで」

「んー。大ちゃん外寒かったでしょ？耳赤くなってる」

「え、まじか！」

言われてすぐに鏡を見ると確かに耳が赤くなっている。
うわー…ロケ始まるまでにましになるといいけど…

「薮くんがきたときは寒くなかった？」

俺が来た時には既に上着を脱いでいて、
楽屋の暖房のおかげか少し頬が赤くなっていた薮くん。
もしかして、かなり早い時間からきてた？

「俺がくるときはそんなにだったよ。」

「…そうなんだ。」

レモンティーをそっと俺の前に出してくれて、
俺の前の椅子に座った。
そっと紙コップに触れるとじーんっと手が温まるのを感じ、両手で紙コップを包み込んだ。

「……………あったけぇ」

「ふっ、大ちゃんそんな寒がりだっけ？まぁ、時間はあるしゆっくり飲みなよ」

くすくすと笑って薮くんが俺の頭を優しく撫でてきた。
…なんか、今日薮くんがいつも以上にやさしい。

じーっと薮くんを見つめると視線に気づいたのか不思議そうに首を傾げてきた。

「なに？？」

「…今日さ、なんかいつもより優しいね。何か企んでる？」

疑いの目を薮くんに向けると困ったように笑みを浮かべて「いつも通り」とだけの返事。

……いつも通り、なのかな

納得がいかずにいまだ薮くんを見つめながらレモンティーに口をつけると、扉の開く音がした。