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少し遠くに見えた、上田さんの姿。
川にかかった橋を渡って、その背中はどんどん小さくなって、住宅街へ消えていった。
……もしかしたら、この帰り道を、翔くんと上田さんはいつも一緒に歩いてたのかな。
翔「まだ、全然話せてないんだよね」
ぽつりと呟いた翔くん。
その表情を見ただけで、翔くんの気持ちが伝わってくる。
翔「声かけてみたりはしたんだけど、何にも答えてくれないからどうしたらいいか分かんなくて」
「…うん」
翔「サッカー部のやつらも心配してくれてんだけど、あいつ誰にも何にも言ってないみたいで。だから優里が何考えてるのか分かんないし」
「…うん」
翔「優里はもう俺と話す気はないんじゃないかとか考えちゃったりもしてさ。なんかもう……ほんと、ダメだよな」
「……」
久しぶりに聞いた、上田さんの話。
学校で上田さんと会うこともなく、翔くんから話を聞くこともなかったけど、やっぱりずっと気になってた。
仲直りしたのかどうか。
何もないってことはまだなんだろうな、とは何となく思っていたけど…
仲直りしてほしいとか、してほしくないとか、そんなの分からないけど、でも翔くんが上田さんのことを考えて切ない顔をしてるのを見るのは正直辛い。
胸の奥の方が、ギュッと握られたような気持ちになる。
翔「もっと早く仲直りできると思ってたんだけどなぁ。そんな簡単じゃなかったな…」
「…うん」
翔「……あ、ごめん。暗い話になっちゃって」
「、ううん」
上田さんの話は、何て言葉を返したらいいのか分からない。
相槌しか打てない。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
