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七海「どうしてって……んー雰囲気？」
首をひねりながらそう答える前野さん。
七海「私は直接話したことは数回しかないけど、いいなぁって思ってたの」
「え……いいな、って……」
翔くんのことを？
ドキッとする。
七海「あ、そういう意味じゃなくて。私、人見知りなとこあるから、打ち解けるのが上手くて羨ましいなって」
「あ、そういう……え、でも、そんな感じしないよ、前野さん。人見知りなんて」
ほっと安心しつつ、前野さんの言葉に首を傾げる。
七海「あー……実はね、ちょっと頑張ってた。中原さんと話すの初めてだし、沈黙にならないように話さなきゃって」
「え、そうだったの」
七海「うん。それに中原さんって孤高の人だと思ってたから余計に」
「あ……」
七海「でも、ちょっと思ってたイメージと違った。私、中原さんと仲良くなれそう」
にこっと笑った前野さん。
その笑顔が胸にじわっと沁みる。
「……私も、前野さんと仲良くなれる気がする」
七海「ほんと？嬉しい！」
「私も嬉しい」
私が私なりに頑張らなきゃって思ってたのと同時に、前野さんも前野さんで頑張ってた。
それを知って嬉しくて、仲良くなれる気がするって素直に思えた。
自然と、その言葉が口から出た。
こういうことだよね。
距離を縮める、って。
七海「文化祭、頑張ろうね。一緒に」
「うん。頑張ろう」
笑い合ってると、前野さんが「そういえば、」と呟いた。
何だろう、と顔を向けた私の耳に届いたのは。
七海「中原さんの声、めっちゃ可愛いね！」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
