29 ＊12/8 ページ29
何年振りに楽しかった夏休みが明けて、二学期が始まった。
始業式の前日の夜も、当日の朝も、〈行きたくない……〉と去年みたいに心が重くなることはなくて。
親の安心したような表情に、私までほっと安心した。
櫻井くん……じゃなくて、翔くんとの関係はと言うと。
学校では、一学期と変わらず〈たまに話す二人〉って感じ。
翔くんは朝も放課後も部活があるから、一緒に登下校もできないし。
そんな中で唯一二人になれるのは、部活がない木曜の下校の時と、あとお昼休み。
一学期は、私は一人で、翔くんは友達数人でお昼を食べていたけど、屋上で二人で食べるようになった。
翔くんが〈せっかくだから一緒に食べようよ〉って。
屋上までは一緒に行かないから、翔くんの友達は〈あいつどこで誰と食べてんの？〉って不思議がってるようだけど、
そこは私たちの関係を知ってる倉岡くんが上手くはぐらかしてくれてるみたい。
翔「A、お待たせ！」
お昼休み、先に屋上に着いて待っていると翔くんがやってきた。
翔「よしっ食べよ！いただきます」
「いただきます」
二人並んでお弁当を食べる。
翔「今日は風が気持ちいいね」
「うん。日差しはちょっと暑いけど」
翔「確かに」
翔くんが、はは、と笑う。
翔「早く秋になんないかなぁ」
「そうだね」
翔「あ、そういえばさ。昨日の文化祭の役割分担決め、大丈夫だった？」
「大丈夫、って……？」
翔「や、なんか俺、勝手にAのこと推薦しちゃって、そのまま流れで決まったから。よかったかなぁって心配になっちゃって」
「あ……」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 357人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
