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翔「そりゃあ呼んでくれたら嬉しいけど」
私の目をちらっと見て笑う。
翔「なんかほら、距離近づいた感じするじゃん。名前呼びになるとさ」
「うん」
翔「でも別に無理強いはしないから。Aのペースで、てか好きなように呼んでくれたらいいよ」
私の、好きなように……
じゃあ……
「翔くん」
ちゃんと届くように呼んでみたら、櫻井くんは「へっ！？」と変な声を出して、すぐにふはっと笑った。
翔「え、急に？びっくりすんじゃん」
「いや、あのね、その、呼ぶのが嫌なわけじゃなくて」
翔「うん」
「緊張するっていうか、恥ずかしいっていうか……」
翔「俺もそうだよ。Aって呼ぶの、照れ臭いもん」
はにかんで笑う姿に、きゅんとする。
「……、今度から、翔くんって呼ぶね」
翔「ほんと？」
「うん」
翔「ありがと、嬉しい」
喜んでくれて私も嬉しい。
あ、でも……
「学校では名字でもいい……？」
翔「え、なんで？」
「だって……みんなに、その、色々バレちゃう、」
翔「付き合ってることとか？バレちゃだめ？」
「だめ、というか……」
みんなの反応を考えると、ちょっと……。
絶対、〈あの中原さんが？〉ってなるもん。
上田さんのこともあるし、あんまり広まっちゃうとよくない気がする。
翔「わかった、いいよ」
言葉が続かず黙ってしまった私に、櫻井くんは優しく返してくれた。
「ごめん、」
翔「ううん、じゃあ俺もそうするね。二人の時だけ、Aって呼ぶ」
「うん。ありがとう、翔くん」
櫻井くんは私の言葉に、本当に嬉しそうに笑ってくれた。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
