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屋台で、焼きそばとたこ焼きを買って。
人でいっぱいの河川敷で、座って花火を見れる場所をなんとか見つけて、並んで腰掛ける。
翔「屋台の焼きそばって、なんかいいよな」
笑いながら焼きそばを頬張る櫻井くん。
……さっき言えなかった。
言えたけど、届かなかった。
ダメだな、私。
櫻井くんからの〈下の名前で呼んでほしい〉ってお願いに、応えられなくて。
結局、話中断したままで、どうしたらいいか分からないし。
翔「食べないの？」
櫻井くんが、箸を持った手が止まってる私を不思議そうに見てきた。
「、ううん、食べる」
慌てて焼きそばを口に運ぶ。
翔「花火まだかなぁ」
「、もうすぐかな」
翔「楽しみだね」
「うん」
櫻井くんからさっきの話を振ってくる様子はなさそうで、私一人そわそわしてる。
そんなこんなで、花火が打ち上げられる時間になってしまった。
翔「うわぁすげぇ、きれい」
「あ、ハート」
翔「ほんとだ、あ、星も」
「うん。きれい」
翔「ね！」
私の方を振り返って笑う櫻井くん。
暗闇でも眩しいくらいの笑顔にドキッとする。
私、この笑顔に応えたい。
胸がときめくのを感じながら私はそう思った。
.
翔「花火きれいだったね！」
「うん」
翔「Aと見れてよかった」
帰り道、二人肩を並べて歩く。
「……あの、櫻井くん」
翔「ん？」
「さっきの話、だけど」
翔「さっき？え、なんだっけ」
「あの……下の名前で呼んでほしい、って」
翔「あ、あー、うん」
「私、その、」
翔「無理しなくていいよ？」
聞こえた声に、私は思わず、え、と顔を見上げた。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
