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翔「じゃあこれからはAって呼ぶ」
「うん」
なんだかくすぐったい。
まるで自分の名前じゃないみたい。
櫻井くんに呼ばれるだけで、こんなに違うなんて。
翔「あとさ、俺のことも下の名前で呼んでほしいな」
「えっ、」
翔「だめ？」
「だめじゃ、ないけど……」
櫻井くんを下の名前で呼ぶのを、想像してみる。
けど。
「え、むり、」
翔「え」
「あ、いやそうじゃなくて、その……」
翔「うん」
「えっと……」
翔「わかった。じゃさ、練習してみよ」
「れ、練習？」
翔「そ。はい、呼んでみて」
「えっ」
いきなり、はい、って言われて、ドキドキが加速する。
えーむりだよ。
翔……ううん、翔くん、かな……
うん、翔くん……翔くん……
気持ちを必死に落ち着けてから、やっとのことでぼそっと呼んでみた。
でも、櫻井くんには届かなかったみたいで、
翔「え？言った？」
「うん」
翔「聞こえなかった、もっかい」
そう言って、ぐっと顔を近づけてきたから、びっくりして思わず後ろに下がってしまった。
すると後ろにいた人にぶつかっちゃって、慌てて「ごめんなさいっ」と謝る。
翔「わ、ごめん、俺のせい」
「ううん、私が、」
翔「いや、ごめん。先食べ物買お、花火始まっちゃう」
「あ、うん」
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
