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翔「あ……ごめん俺、ちょっと考え事してた」
「ううん、ごめんね、急に掴んで」
翔「いや、」
と、言葉を止めた櫻井くんは、離したばかりの私の手をぎゅっと握った。
翔「離れないように手繋いどこ」
ニコッと笑った櫻井くんに、きゅっと胸が音を立てる。
うん、と頷き返して、私は櫻井くんの隣に並んだ。
翔「人すごいよね」
「うん」
翔「屋台も結構人並んでる。何買おうかなぁ」
屋台から漂ういい匂いが食欲をそそる。
こういうの久しぶりだから迷っちゃうな。
どれも美味しそうに見える。
翔「何食べたい？A」
「んと……え？」
どくんと心臓が鳴る。
今、櫻井くん、何て……
パッと隣を向くと、照れくさそうな横顔が見えた。
「……あの、」
翔「うん。下の名前で呼んでみた」
「、びっくりした……」
翔「や、なんか、大野さんがAって呼んでるの聞いて、いいなーって思っちゃって。俺も呼びたいなって。……いい？」
「うん。嬉しい、」
翔「ほんと？……実はさ、ずっとタイミング考えてた。いつ呼ぼうって」
「そうだったんだ」
突然でびっくりしたけど、すごく嬉しい。
この前、立木さんが倉岡くんに下の名前で呼ばれてるの聞いて、いいなぁって思ってたから。
まさかこんなに早く願いが叶うなんて。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
