この声に想いを込めて~2nd season~ (ページ20)

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翔「もう12時だね。お昼にする？」

「うん」

とりあえず今いる建物から出ようと、廊下を歩き出した。

翔「どこで食べる？てか、大学内の食べる場所ってどこだろ」

「食堂とかあると思うんだけど……」

翔「どの辺りにあるのか探そ」

私の手元のパンフレットを、櫻井くんが覗き込んでくる。

翔「どこだろう」

「あ、ここに食堂って書いてある」

翔「お、ほんとだ。えーこれどこ……今いるのが……わ！あっすいません！」

パンフレットの上で指を動かしていた櫻井くんが、急に大きな声を出した。

ちょうど曲がり角で、向かいから来た人にぶつかってしまったみたい。

「ん、あ、大丈夫です、」

ペコッと頭を下げた櫻井くんに、そう返したのは。

「あっ、智くん！」

「へ？……おお、Aじゃん」

わ、まさか、こんな偶然、智くんに会えるなんて。

智「会えないかと思ったけど会えたね」

「うん」

翔「……え？」

智「あ、てことは君が櫻井くん？」

翔「え、あ、はい櫻井です……って、え？」

頭の上にハテナをいくつも浮かべる櫻井くん。

「あ、あの、櫻井くん。智くん、私の幼なじみなの、」

翔「えっ、中原の幼なじみ？」

櫻井くんは目を見開いて智くんに目を移した。