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11時から始まった学科説明会。
パンフレットには講義室で行うって書いてあったから、学校の教室をイメージしていたんだけど、実際は全然違くて。
学校の視聴覚室よりも広い講義室で、大学の規模の大きさに、二人でびっくりしちゃった。
美術学科の先生による説明や、学生さんの作品の紹介。
櫻井くんは興味ないだろうに、退屈そうな顔を全く見せず、私の横で真剣に聞いていた。
翔「いやぁ、なんか世界が違うなぁって思っちゃった」
説明会を終えて講義室を出ると、櫻井くんは目を丸くしてそう言った。
「世界？」
翔「うん。芸術派！って感じ」
「ふふ、でも確かにすごかったな」
翔「中原もここに通うかもしれないんだよね」
「いや、私はまだ分かんないけど、」
美大に行く人は、もうその道で生きていくって決めてる人がほとんどっていうのを、改めて思い知った。
でも私はまだそんなこと全然決められてない。
智くんは、まだ悩んでていい時期って言ってたけど、ますます悩みそうだよ。
翔「中原と同じ大学行きたくても、さすがに美大には行けないなぁ、俺」
心の中でため息をついた私の横で、急に櫻井くんがそんなことを呟いた。
「、え？」
翔「って、そんなんで大学決めちゃダメだよな」
「……、でも櫻井くんと一緒だったら嬉しい、かも」
翔「え、そう言われたら美大頑張っちゃおうかな」
「えっ」
翔「はは！なんてね」
ふはは、って笑う櫻井くん。
でもそっか。
櫻井くんと同じ大学も……いいかも。
美大じゃない道がもし見つかった時にはね。
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作者名：さくらこ | 作成日時：2019年6月23日 17時
