この声に想いを込めて~2nd season~ (ページ14)

今日:24 hit、昨日:8 hit、合計:32,236 hit

14 ＊9/8 ページ14

倉岡くんが座ってた場所に、二人の飲み物が載ったお盆を置いて。

そことは反対側の隣に、櫻井くんが座る。

また急接近した素肌にドキドキしていたら、パーカーを羽織ってくれて、ほっと一安心。

「あの……これいくらだった？」

ジュース代、払わないと。

ドキドキから解放され、やっと頭が回って鞄から財布を取り出そうとしたら、

翔「ん？あーいいよ、払わなくて」

「え、でも」

翔「いいの。中原が元気になってくれれば」

「え、」

そうだ。

櫻井くん、私が具合悪いって勘違いしてるんだった。

「ほんとに私、どこも悪くないよ？」

翔「ならよかった」

「え、そうじゃなくて……その、」

翔「あーじゃあさ……一つお願い聞いてもらってもいい？」

「……え？」

お願い？

突然の言葉に戸惑って隣を見ると、櫻井くんの少し日に焼けた横顔が目に映った。

翔「この後さ、二人になれないかな」

翔「ダブルデートもいいけど、やっぱせっかくだから、二人になりたいっていうか、」

チラッとこっちを向いた櫻井くんは、デートしたい、と呟いた。

ぶつかった瞳に、どくんと胸が跳ねる。

呼吸が苦しくなるような感覚になって、思わず視線を逸らしてしまった。

「……、えと……うん、」

ジュースを持った自分の手元を見つめたまま、こくんと頷く。

翔「いい？」

「、うん」

心臓がバクバクうるさく鳴り響くのを必死に抑えながら、私はもう一度頷いた。