じゃあ、こっちにする? ページ45
幸せで満ちた雰囲気に流されて、藤ヶ谷は北山をベットに押し倒す。藤ヶ谷の髪が顔に触るぐらい一気に縮まった距離に、北山は驚きもせず微笑んだ。そして彼は優しい顔のままで手を大きく広げて藤ヶ谷を求めた。
F「っ……!」
今目の前の光景が現実味を帯びていなくて、藤ヶ谷は一瞬幻想ではないかと疑ってしまった。けれど寝転ぶ北山の手を握ると、とても暖かくまた涙が出そうになっていた。
また顔を歪めた藤ヶ谷に北山は軽く笑って、藤ヶ谷の首筋に手をかけて自分の方に引き寄せる。先程より距離が近くなり、もう鼻がくっつきそうだった。藤ヶ谷は北山の顔が急に近くなったのでドギマギする。コロコロ変わる藤ヶ谷の表情に北山は再び笑う。
K「お前キングだろぉ?俺がエスコートしてどうする」
F「ご、ごめん」
北山に図星を突きつけられ、少ししょんぼりしていた藤ヶ谷だが、瞼を閉じて数秒後目を開けると藤ヶ谷の目付きは完全にスイッチが入っていた。悲しそうな目から、獲物を狙う狼のような目に豹変した藤ヶ谷に北山の心はドキッと高鳴った。
北山が着ていたTシャツの下からゆっくりと藤ヶ谷の少し冷たい手が侵入してくる。覚悟は決めていた北山だが、改めてしようとすると恥ずかしさが込み上げて来て、顔を真っ赤にさせていた。そんな北山を軽く見据えた藤ヶ谷は、北山の身体を撫でながら彼の首筋に顔を近づける。
K「う……」
流石に驚いた北山は短く声を出す。藤ヶ谷はゆっくりと北山の首筋に沿って舌をなぞる。その瞬間北山の背筋は凍り、鳥肌が立つ。いつもならくすぐったいと感じるはずなのに、今は不思議な感覚に襲われた。その感覚が何なのか分らなくて、北山は目を見開きながら硬直する。
すると北山の耳元でリップ音が鳴る。丁寧に藤ヶ谷は先程舐めた首筋に次々とキスを落とす。そのキスされた箇所はほんのり赤くなっていた。その赤くなった所を見て藤ヶ谷はこの愛の印が付けられるまで北山は自分に身を委ねている事を再確認出来て、嬉しそうに微笑む。
K「……も、いい、だろっ……」
嬉しさで何度もキスを落としていた藤ヶ谷に耐え切れなくなった北山は、藤ヶ谷の肩を掴み一旦距離を離す。再び先程のポーズになると藤ヶ谷は目を細めて、北山の頬に手を添える。そして親指で北山の紅い唇を何回か押す。北山は訳が分からず、藤ヶ谷を見つめた。
F「……じゃあ、こっちにする?」
優しい音色だったが、藤ヶ谷の顔は悪い事を考えている少年のような表情でにやりと笑う。その時北山に重力が押しかかり、目頭が一気に熱くなった。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時