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ヘレニウム ページ34

席を大胆と立ち上がった藤ヶ谷は、大きく手を上げて思いっきり下に下ろして拳を強く握り、ガッツポーズを取った。

そんな無意識で思っきり喜んでいる自分に我が返って、藤ヶ谷は肩を竦める。情緒不安定気味だが、そんな藤ヶ谷が面白く北山は軽くまた笑った。

F「てか、しょうがないって、」

K「ん?お前がどうしてもって言うからな、」

「言ってないし」と言っているかのように藤ヶ谷は口をわざとらしくアヒルのようにとんがらせた。「だってそうだろ?」と言っているように今度は北山もアヒル口をする。

同じ顔をする自分達が可笑しくて、二人揃って軽く笑った。けれど目がバッチリ合うと、やっぱり照れてどちらも目を逸らした。

  F「……本当は自分だって行きたいくせに、」

  K「あ?」

拗ねた様子で北山を少しからかってみると、思った以上にキレられて藤ヶ谷はしょんぼりした様子で俯いてしまう。そんな藤ヶ谷に呆れながらも北山は微笑んでいた。

その数秒後、何となく藤ヶ谷は北山を見てみると彼も丁度自分のことを見ようとしていて、またバッチリと目が合う。そして照れて逸らすの繰り返しだ。

再びぎこちない距離になった二人は、その後の撮影は何事もなく完璧にこなしたのだった。

外に出ると少し肌寒さが連想させられる風が吹いていた。帰路についていた藤ヶ谷は、ぼんやりと明日のデートプランを考える。

北山はどうやって喜んでくれるのだろうか。明日は楽しんでもらえるだろうか。色々不安は募っていくが、藤ヶ谷の中では楽しみという一言の方が勝っていた。

少しスキップ気味に歩いて行く藤ヶ谷は、本当に明日が楽しみだと言うことがよく伝わってくる。

一方北山は、もう自宅に着いており帰ってからすぐにベットに飛び込んでしまった。その表情はとても悲しく、辛そうに見える。

ベットからゆっくり身体を起こすと身支度を済ませ、寝るためにベットに入った。けれど全然に寝付けることが出来なくて何故だが、涙がこみ上げてくる。

その夜、北山はそっと涙を流した。


ーーーー三章完結ーーーー
第一話『節制』
第二話『恋の予感』
第三話『この恋に気付いて』
第四話『片想い』
第五話『大切なあなた』
第六話『とても魅力的』
第七話『触れないで』
第八話『小さな愛』
第九話『秘密の恋』
第十話『甘い誘惑』
第十一話『穏やか』
第十二話『自信』
第十三話『私にキスして』
第十四話『愛の告白』
第十五話『あなたを信じて待つ』
第十六話『愛らしさ』
第十七話『とても幸せです』
第十八話『涙』

第四章はクライマックスとなります。

第四章 つるバラ→←クチナシ



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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時

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