ヤドリギ ページ29
ざっと仕事が終わり、楽屋に戻って来たメンバーは各々の椅子やソファーに座って疲れを一気に流す。それぞれの溜息が楽屋中に広がる。
だがその中で藤ヶ谷はずっと眉をひそめていて、疲れを吐き出さず頭をフル回転していた。自分なりの告白プランという言葉を永遠と頭に留めながら。
けれどずっと考えても藤ヶ谷の頭の中には情景が浮かばず、ただ言葉しかなかった。「こんなんで北山を喜ばせることが出来るのか」と藤ヶ谷の心に不安が募る。
ふっーとやっと息を深く吐いた藤ヶ谷は一度リラックスする為に席を立つ。自分の鞄から煙草を一箱取り出して手に取り、軽く煙草の箱を宙に浮かべせながら扉に向かう。
その楽屋を少し歩いた所でふと藤ヶ谷はあるところに気が付く。「北山がいない」と言葉が自然と頭に浮かんでくる。
確認のため楽屋を一望する。頭に浮かんだ通り、この楽屋のは北山の姿は見られなかった。どこかに一息ついているのだろうと安直に考えて部屋を後にする。
喫煙室に着いた藤ヶ谷は煙だらけの空間に、透明のガラスに囲まれた部屋の少し太いドアノブに手を伸ばし部屋から煙を一気に廊下に送る。
廊下に出た匂いを鼻に吸い込むと、昔良く嗅いでいたしつこく残る甘ったるい煙の匂いは彼が愛用している煙草のメーカーの物だった。
その瞬間、藤ヶ谷の中では歓喜の感情が沸騰する。少し足早に足を動かせ、煙をどけながら中にいる人物を視界に入れる。
F「……北山、」
K「……あ、れ?ふっ、藤ヶ谷じゃん。」
少し戸惑いを露にした北山だが、すぐに俯き煙草を吸ってふぅっーと口を尖らせながら息を吐く。
壁にもたれかかっている北山の隣に立ち、同じ様に藤ヶ谷も壁にもたれ掛かり、箱から煙草を一つつまみ出す。
藤ヶ谷が煙草に火をつけると同時に北山の煙草の半分以上が灰になり、灰皿に煙草を押し付けゴミ箱を捨てる。
普通なら煙草が終わったのなら喫煙所を後にするはず、けれど北山は手に持っている箱から煙草を取り出す。
F「あれ?北山もう一本吸うの?身体に悪いよ」
K「うるせー、別に良いだろ。溜まってんだよ、」
また北山の目が焦れったくなる。その目を藤ヶ谷は見逃さなかった。 北山が自分の煙草を口に咥える前に、藤ヶ谷は自分の煙草を取り出して口に咥える。
煙草を咥えるために半開きになっている北山の口に藤ヶ谷は口に咥えていた煙草を入れる。
その時、またあの撮影のようにキスする寸前で止まる時のポーズのようになった。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時