ミモザ ページ25
起き上がった北山は彼にかけてもらったジャケットで顔を覆う。その頬はほんのり赤くなっていて、とても虚ろな目をしていた。
北山は藤ヶ谷がソファーに座る前から起きていた。けれど二人っきりだと、どうしてもこの前の出来事をどうしても思い出してしまい狸寝入りをしていたのだ。
彼にジャケットをかけられてから顔の熱が冷めなくて、藤ヶ谷がどっか行くのを必死に願うことしか出来なかった北山。
藤ヶ谷が出て行った扉を見つめながら安堵した北山は無意識にジャケットを軽く握りしめた。すると藤ヶ谷の香水の匂いが北山の鼻に届き、北山は安心した表情に変わる。
その行動は北山にとっては無意識で何も考えていなかった。我に返った北山は思わず身体を飛び上がらせて、ジャケットを投げて身を縮ませてしまった。
K「俺、今何してた……?」
自分の行動が理解できず、必死にあまり動かない頭で考える北山。けれど心に秘めているモノに当然の事気付くことが出来ない彼は、とりあいずほおり投げたしまったジャケットを拾うために身体を起こす。
ジャケットを拾ったところでまた、フワッと藤ヶ谷の香水の匂いが辺りに広がって漂い続ける。ずっと鼻に残る匂いに眉をひそめながら、丁寧に自分の腕にかけた。
そのまま立ち尽くす北山はぼんやりと藤ヶ谷の事を考えていた。最近距離が縮まって、メンバーとそて嬉しいが何かが北山の心に引っかかって離れない。
K「俺は何がしたいんだろうな……」
心に残り続けるモヤモヤを北山はぎゅっと自分の胸に拳を握りしめる。北山の表情は苦しそうで、悔しそうで、辛そうだった。
何故か胸がモヤモヤしているだけで、辛そうにしている北山の目はどこか遠い目をしているようにも見える。
K「……俺がここに来た意味、か……」
ぽつりと呟いた意味不明な言葉は誰からも理解できないものだった。
何かを悟った北山は腕にかかっている藤ヶ谷のジャケットを目の前に広げ、自分の胸に引き寄せて抱き着く。その時かすかに扉の開閉音が鳴ったような気がした。
北山はジャケットを抱きしめながら感傷に浸っている。けれどふとその視線は扉に向けられた。その瞬間北山の喉が締まる音が彼の脳内に響いた。
K「っ……!ふ、じが……や、」
藤ヶ谷はお手洗いに向かった。洗面所の前に立ち、蛇口を捻り水の音を聞いていた。その音は藤ヶ谷の心を包み心身共に心が安らいでいった。
気持ちが随分と落ち着いたところで彼のいる楽屋に足を運ぶ。けれど、どんどん近づくにつれ藤ヶ谷の心は再び跳ね上がっていた。
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作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時