セントポーリア ページ24
発進してから少し経った後、二階堂と千賀は仲良くお互いの肩を寄せ合って眠りに落ちていた。北山も背もたれにのしかかり、静かに寝息を立てている。
藤ヶ谷は運転中なのにも関わらず、横目で北山を見つめていた。その車内では色の濃いおれんじの光が差し込んでいる。
目の前の信号が赤に変わり、ブレーキをかける。すると藤ヶ谷は北山の事を真剣な眼差しで優しく見つめていた。あまりにも無防備な紅い唇に藤ヶ谷の目が揺らいだ。
決して寝込みを襲うのは良い事ではない。けれど藤ヶ谷は北山の口元に顔を近づける。そっと触れる寸前で藤ヶ谷の動きが止まった。
すると彼は北山の口元を自分の手を被せ、チュッとリップ音を鳴らす。藤ヶ谷は本物の唇にするのではなく、自分の手にキスを落とす。
その表情は悔しそうに顔を歪めていた。藤ヶ谷はまだ寝込みを襲う資格が無いと判断したのだろう。今の自分ではキスすることすら許されていない現実を突きつけられたように、顔をこばわせる。
けれど彼を見る藤ヶ谷の目はとても愛おしそうに温かい物だった。しばらくして二階堂の駐車場に到着し、それぞれを起こしてそのまま現地解散となった。
別れる時の藤ヶ谷の目はじっと離れてゆく小さい背中を見つめていた。藤ヶ谷の元から離れる北山の表情はとても穏やかで楽しそうだ。
次の日朝から藤北の撮影があり、楽屋には二人の影があった。同じように各々の時間を過ごしている中、藤ヶ谷はある作戦を練っていた。
それは北山は自分の事を好いてくれているのか、それとも可能性があるか確かめる作戦だ。そのためには更に距離を詰めないといけないし、恋愛的な行動を起こさないといけない。
藤ヶ谷にとってはドラマとかでそういうスキンシップは慣れているけど相手が本気で好きな人になると、全然恥ずかしさが違った。
そんな藤ヶ谷の悩みも知るわけもない北山はソファーに身を丸めて寝息を立てていた。前までは藤ヶ谷に対して警戒心が高く、二人っきりの空間では一切隙を見せなかった北山が、目の前で身を委ねている姿を見て藤ヶ谷の顔はにやけている。
この前寝込みを襲うのはまだ早いと知った藤ヶ谷は、静かに北山の隣に座った。すると少し肌寒そうにしながら寝返りをうつ姿を見て、藤ヶ谷は自分が着ていたジャケットを彼にかけてあげる。
自分の着ていた服を引っ張りながら心地よく寝ているのを目のあたりにして、ある衝動に駆られてしまった藤ヶ谷は気持ちを落ち着かせるため部屋を後にした。
藤ヶ谷が出て行ったと同時に北山は身体を起き上がらす。
158人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:supia | 作成日時:2021年9月23日 1時