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▽ 主side ▽
「あー、悪いネ。
代わりに俺が持とうか?」
クロさんは何故か研磨の代わりに謝ると、纏めたネットの後ろの方を持ってくれた。
「えっ、ありがとうございます」
「いーよー。
ま、これくらいなら俺一人で運べるけど」
ですよね…。
と言うのは、ぐっと飲み込んでおいた。
手伝って貰えただけ有難いのだから、変な事言う訳にはいかないし。一応、他校の先輩だし。
でもなんか、雰囲気とかが、ちょっとだけ苦手なんだよなぁ。
因みに研磨はと言うと、未だに僕のジャージの裾を握って離さない。もう別に、飛雄も諦めてるとは思うけど。
弟みたいで可愛いからいっか。
「てかさー、A君、さっきは凄かったねー。
まさしくオールラウンダー」
唐突な褒め言葉に思わず彼の方を振り向く。
クロさんは相も変わらずニヤニヤと笑っていて、でもとても、嘘をついてる様には見えなかった。
「そっ、そうですかね?」
「ん。あと、凄い観察眼」
と、今度は研磨に言われる。
それに関しては研磨にも言えることだよね。
「おい、黒尾ー。先に荷物運んでるぞー」
「あー、悪いネ やっくん。
宜しく」
そんな声に目を向ければ、音駒のリベロさんが結構多めの荷物を肩にかけて僕達の方を見ていた。いや、音駒は荷物を誰か一人に押し付ける伝統でもあるのか。
てか、あのリベロの夜久さんて方、凄いレシーブうまかったんだよなぁ。
…と、ボーッと考えていたらいつの間にか夜久さんは僕達の目の前まで歩いてきていた。
え、何。
「どしたー?やっく…」
「お前ら、烏野の13番ともう仲良しかよ!
狡いぞ!」
仲良しっ…って。
可愛いな、言葉選びが。
「えぇ…夜久さんもそういう感じ…?」
「んだよ研磨。13番のレシーブ上手くて、凄い気になってたんだぞ」
「あー。やっくん休憩中に、A君のこと褒めてたもんね」
えっと、取り敢えずネット片しません?
と言えるはずも無く、彼等の会話を眺めていると。
可愛らしい顔立ちの夜久さんが、急に僕の方に目を向けた。
「…えと」
「俺、夜久衛輔、3年」
「水宮 A、1年です」
「1年であの動きかよ、スゲーな」
彼はそう言うと僕の手をガシッと掴んで、ブンブンと腕を振った。因みにそのせいで、ネットは床に落ちてしまっている。
「ちょいちょいやっくん。A君、困ってるよー?」
「黒尾に絡まれるよりマシだろ?」
確かに。
僕はその言葉も、なんとか唾と一緒に飲み込んだのだった。
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ゆん(プロフ) - おもしろくてすぐに読み終わりました(о´∀`о)続きが気になります😃更新頑張って下さい(*´∇`*) (2022年7月6日 12時) (レス) id: d0dd043faf (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - 更新待ってます!!! (2021年10月29日 14時) (レス) @page37 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
MiSo(プロフ) - 続き楽しみにしています!!更新停止中ですが、再開したら無理せずに頑張ってください!応援しています! (2020年7月12日 0時) (レス) id: 78c105b37d (このIDを非表示/違反報告)
ミューナ(プロフ) - お気に入り登録が819になってる…! (2020年5月4日 8時) (レス) id: d5974347c1 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜 - 面白いです(*^^*)合宿の話とかすっごい気になります!更新頑張ってください、("⌒∇⌒") (2020年4月28日 15時) (レス) id: d570b5d827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒマリ | 作成日時:2020年4月27日 23時