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episode*10 ページ13

「…魔姫様」



他人行儀な呼び名に、少しびっくりした。



『呼び方、Aで良いよ?』


「そうか?…まあ、お前が言うならいっか」



シンは軽く了承してくれた。良かった…魔姫様、とかむず痒いし。


お互いの呼び方が決まった所で、私は本題に入ることにした。



『シン』


「なんだ、A」



早速呼び捨てしてくれたシンに、また私はドキッとした。ほんと、なんだろう、この感じ。


おっとっと、話が逸れた。




『…シン。今日は、あなたのおかげで助かった。ありがとう』




言葉の最後に、にこ、と感謝の気持ちが伝わるように、せいいっぱい微笑んだ。


30年生きて身に付けたこの柔らかい微笑みは、きっとカンペキだ。ニートだったけどね。




「…ッ」




シンは顔を赤くした。


…どうして?






『…シン…?』




大丈夫?と、シンの肩に触れた。


その途端、シンはビクッと体を反応させた。



『えっ…』


「あ、いや、すまん」



…まさか……



『シン、もしかしてケガしてるの?どこか痛い?』


「……………え?」


『…』



私は、むむっ、と上目使いでシンを見つめる。


すると、またシンはビクッとなった。


…少年よ、嘘はいかんぞ。



『…』



私は無言でシンに近付き、そして、


シンの服、ワイシャツのボタンを、上から二つ外し、彼の肩を露出させた。



「え、はっ!?」


『…やっぱり。』



シンの肩にはひっかかれたような傷があった。


恐らく、ヒグーマの爪によるものだ。



「………ああ。このくらい、舐めておけば大丈夫だ」



…いやいや、ダメだと思う。


血がまだ固まりきらない位には、深い。


私は、着ているスカートのポケットから、清潔な白いハンカチを出した。


そして、なるべくシンが怖がらないように、


これまた、せいいっぱい、優しい微笑みを浮かべながら、シンの胸板に、触れた。




『手当て、してあげる』









.

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むっふぃ〜(プロフ) - ユーホニア大森林が来た時点で私は確信してしまった...この作者なら仲良くできr(((とても面白いです!これからも更新頑張ってください!! (2018年9月9日 16時) (レス) id: 3afe744d97 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の羽(プロフ) - 初音さん» 本当ですね(;゚Д゚) ご報告感謝です (2017年9月2日 20時) (レス) id: ab31b519ce (このIDを非表示/違反報告)
初音 - 28の、「76時間耐久激痛」のとこ、丸3日間なら「72時間耐久激痛」ですよ! (2017年8月14日 23時) (レス) id: c5530373f4 (このIDを非表示/違反報告)
漆黒の羽(プロフ) - のんいろ。(レオンさん» コメントありがとうございます。お察しの通りです(笑)ぼちぼちですが更新頑張ります(*'ω'*) (2017年3月1日 19時) (レス) id: 19bb651143 (このIDを非表示/違反報告)
のんいろ。(レオン(プロフ) - クラ…サクッス…ユーホニア…あっ(ストーリーが私の好みすぎて続きが気になってしかたないです…!更新頑張ってください!! (2017年2月20日 17時) (レス) id: 98639aa88e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:漆黒の羽 | 作成日時:2015年12月18日 18時

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