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忘れるわけがない 沖田side ページ37

「ちゃんと気付けてもいねェのに、お前のことをちゃんと見てなかったのに、俺はひたすら自分勝手に怯えて、お前をまるで弱者のように扱ってたんでィ」


Aが弱者なんかじゃないことは分かっていた。Aが強くないわけがないと分かっていた。あんなにも強くなるために努力を人知れずにし続けて、どれだけ邪険にされたって逃げずに向き合い続けて、護りたいと思うもののためなら自己を犠牲にすることも厭わずに飛び出していくようなコイツが、弱者な訳がない。けれど、それを分かっていても、自らの怯えのために。傷付いてほしくない、もうあんな痛々しい姿を見たくないと思うばかり、そのことを忘れてしまったかのように俺は俺のためにAの意思を踏みにじるようなことをした。それをAを護るためだと定義付けたりもした。最低だ。

だってそれはつまり、Aは弱いから俺が護ってやらないといけない。そんなことを思っていたことと同義じゃないか。Aが傷付くことを前提に考えていたのだから。俺はAのことを一番分かっているだなんて嘯いて、何も分かってなどいなくて、それなのにも関わらずいつの間にかまるでAを弱者だと決めつけるようなことをしていた。


Aはそんな俺の言葉を聞いても真剣な眼差しでじっと、俺のことを見据え続けている。一切の曇りもない、強い色をした目だ。俺は今まで本当に最低なことをして、最低なことを言っているのに、そのことを責めようとしない。ただただ、真っ直ぐに俺を見つめている。責めてくれていいのに、俺が反論できることなんて何一つとしてあるはずがないのに。

きっと最後まで聞いてくれようとしているのだろう、俺の話を。それなら俺も、情けなくもビビりながらでも、俺に出来る限りの誠意を持って言葉を紡がなければならない。俺は続ける。

あともう一つの謝らなければならないこと。


「それから、…覚えてるかィ、俺が言ったこと」


『この先、俺ァお前を護ってく。だから
……傍に、居てくれねェですかィ』


少し照れ臭くなるようなその言葉。いつかの夕暮れにAに伝えたその言葉。Aはコクリと頷いて、小さめの声で呟く。


「覚えてますよ、勿論」


忘れるわけがありません、と。憂いを帯びたようにソイツは視線を伏せて、あちらもなんだか恥ずかしそうにしている。その姿に愛しさをまた抱いては、それを見て既に手に余るような罪悪感が更に増したような気がした。

幻滅されて当然 沖田side→←謝らなきゃならないこと 沖田side



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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