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謝らなきゃならないこと 沖田side ページ36

「…悪かったな」

「…え…?」

「…俺はお前に、謝んなきゃならねェことがあるんでィ」


反射的に、衝動的に、目を逸らしてしまいたくなった。その言葉を告げるには。これから先に口にする言葉を告げるには、それなりに勇気が必要なもので。Aがあまりにも純粋で、綺麗な目をして俺を真っ直ぐに見つめてくるから、俺の中に確かに存在し、すっかりここが自分の居場所なのだというように根をはっている情けなさや、それに似たような感情のすべてに気付かれてしまいそうで、見つかってしまいそうで、そんな気がしてしまって、何処かAとは関係のない明後日の方向に目を向けてしまいたくなった。その目を見つめ返していれば、まるで赤裸々に自身の感情をソイツに語ってしまっているように感じてしまって。

けれど、それでもそんな衝動を思考の隅に追いやって、ソイツのことを見つめ続けているのは、そのソイツがそれをしなかったからだ。俺が逃げていたのに、Aは逃げようとしなかった。俺は目を逸らしていたのに、Aは逸らしていなかった。向き合って立ち向かってきた。


…なら、俺がそれをしないでどうするってんだ。


「何の…ことですか…?」


Aは俺の発した言葉にまた困惑しているようで、眉をひそめるようにしながらそう問い掛けた。俺はワズカナ躊躇いを飲み込んで、再び口を開く。


「まずひとつ目。…俺はお前をちゃんと見てなかった」

「…そんなことないと思います」


沖田隊長は、私のこと、ちゃんと見てくれていますよ、と。Aは俺に気を遣っている訳でもなく、お世辞を言っている訳でもなくそう返した。Aが俺にそんなつまらない気遣いとか、お世辞とかを言うことはないことくらい、それくらいなら俺は知っている。

けれど、そういうことではなくて。俺は首を横に振った。


「…俺は、お前のことを分かったつもりでいた。真選組ん中で、一番お前の努力を知ってると思ってた」


それがなんだ、俺は今日。さっき、Aに驚かされてばかりだった。この小さな身体に、目を見開いてばかりだった。飛んだ思い上がりだ。


「んなことなかったんだ。今までお前が、あんなに強くなってたことに気付いてなかった」


…それは、過去の記憶が俺の視界を覆っていたから。いつかのボロボロに傷付いたAを思い出しては、そればかりを見つめていて、傷付けたくない、護ってやらなきゃと、そんなことばかりを考えていたんだ。


…んなことに気を取られてばかりで、ちゃんと見つめるべきことを見つめられていなかった。

忘れるわけがない 沖田side→←称えているように 沖田side



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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樹里 - 今回も陽太くんかっわいいっ!!うちの弟もこうだったらなぁ〜 あと、全然関係ないんですけど、名探偵コナンに沖田総司っていう人が出ててめっちゃびっくりしました。ちょっとパクられたような気がしたんで、ソッコーでコレ読みました(笑) (2018年10月7日 18時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - 樹里(元茉莉華)さん» 樹里さん!お久し振りです!コメントありがとうございます!いい感じのところですね〜私もここらへんは苦戦しつつも書けるときはとことん楽しんでいたので、うまいこと盛り上げられたらいいなと思います!着実に成長していく二人をお見のがしなく!(笑)頑張ります! (2018年9月26日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
樹里(元茉莉華) - ピピコさんお久しぶりです! なんかいい感じのとこですねっ!! 更新楽しみにしてます! (2018年9月25日 17時) (レス) id: c11197eaa9 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ヒタキさん» ヒタキさん!初めまして!ありがとうございます!いっぱい読んでださってるんですね…!すごく嬉しいです!何度も読み返してもらえるようないいお話が書けていたらいいなと思います!これからもドキドキワクワクして貰えるように頑張っていきます!! (2018年9月6日 23時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ヒタキ - こんばんは!初コメさせていただきました。ピピコさんのこの小説本当に大好きで何回も読ませてもらっています!!いつもドキドキワクワクです。これからも応援しています^^ (2018年9月6日 23時) (レス) id: 130f1442ec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2018年6月15日 19時

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