【銀魂】沖田隊長、約束をしましょう【沖田総悟】

強くなりたい ページ13

Aside


最近、眠るに眠れないことが続いていた。布団をひいて、寝巻きにもバッチリ着替えて、さぁ明日に備えて眠ってしまおうと布団に潜り込み目を閉じても、眠れない。自分が認識している最も楽な体勢で寝転がってみても、羊を数えてみても、出来るだけ何も考えないように努力してみても、一向に眠れる気がしない。そんなことが、一ヶ月ほど続いている。きっと切っ掛けは、過激派攘夷浪士達が活発に動き始めたことが、会議で知らされたからだろう。幕府関係者が次々と殺害されている事件。その件が議題に上がってから、行く行くは討ち入りになることはその時点で分かっていたことだ。そして、討ち入りには、一番隊が多くの場合駆り出されることになる。

そのことを意識しているのだろう。眠ろうと目を閉じて、考え事をしないようにしていても、どうしてもそのことが私の思考を動かして、眠気を何処かへと押し流してしまうのだ。ぐるぐると色んな事柄が頭の中で渦を巻いて、目が冴えてしまう。だから私は、眠ることを一端諦めて起き上がり、道場に向かうのだ。

動いてくたくたになるまで疲れてしまえば、きっと布団に入ったら気絶するように眠れるだろうと。どうせなら、少しでも強くなれるように、自分を鍛えられるように稽古をしよう。そう考えて、眠れない夜は、一人道場へと足を運んでいるのだった。


…今日もそうだった。今日は沖田隊長が真面目に仕事をこなしてくれたおかげで夜まで資料に追われることはなく、夜はのんびりと過ごすことが出来た。まだ眠る時間には早かった。それに、眠れる気もしない。だから、また道場に向かった。この時間帯ならたっぷり稽古をしてから、余裕をもってお風呂に入って流した汗を洗い流せるし。いつもはちゃっちゃと済ませてしまうから、時間に余裕があることが嬉しかった。やはり時間を有効に活用することはいいことだと私は思う。


稽古を行うときにいつも着ている袴を身につけて、竹刀を握って。私はそれを振るう。合同稽古の時は大人数で執り行うため、道場には大きな声が響き渡り、とても狭く感じるのたけれど、私一人の声はなんだか小さくて、道場は何倍にも広く感じた。


…強くなりたい。誰よりもなんて言わない。誰よりも強くなれるなんてことは、思っていない。けれど。

大事な人達を護れるくらいには、強くなりたい。自分の振るった刀で、誰かが救われることを願って、私はここに居るのだから。


こうして竹刀を握り締めるたびに、そう強く思うのだ。

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