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第9話 つくり物の世界 ページ10

エマ「テストは?」

ノーマン「食用(ぼくら)に教育は必要ない。むしろ、鬼にとっては危険なはず…」

エマ「「また6歳」、「此の所並の出荷が…」、「そろそろこのフルスコア3匹と他1匹…」」

A「年齢や成績(スコア)が“肉”の等級(ランク)に関係してる?
でもなんで?テストでいい点取っても、肉はおいしく…ならないよね?」

ノーマン「わからない、わからないことだらけだ。
ハウスを…世界を…僕らは知っていたつもりで、何も知らない。
──思えば、21世紀も半ば…なのに、テレビどころかラジオもない。
檻の内側は時代錯誤のつくり物(・・・・)だ。」

A「つくり物…」

ノーマン「今はまずママより…ママより先に手を打ちたい。わかることから片付けよう。」

エマ・A「うん。」

ノーマン「情報を整理しよう。
コニーの前がハオ、その前がセディ。
今までの周期から考えて、次の出荷(・・)は恐らく最短で2か月後。
それまでに全員で脱出できる方法を考え出さなければならない。
敷地を簡略に表すと…ハウスを中央に、「門」、そして周りを取り囲む「柵」。
まずは“出口”。「門」か「森」か。」

エマ「──森からだ。」

A「門は出荷の時以外は閉まってる。」

ノーマン「うん。それに開くときには鬼がいる。」

エマ「次に“時間帯”。
ママがいない「出荷の夜」か、私達が自由に屋外(そと)へ出られる「昼間のあそび時間」。」

A「出荷の夜はダメだよ。必ず一人が犠牲になる。」

ノーマン「第一、夜は年少者が起きていられるか心配だ。」

エマ「だね。」

ノーマン「決まりだ。昼間、森を抜けて外へ出る。」

A「それが可能かどうかは」

エマ「()の先がどうなっているかによるね。」

ノーマン「行こう。行って確かめよう。」

私達は、柵の先へ向かった。

A「…」

お兄ちゃん…手、震えてた。

平気なはずない。

ママは私達にとって、たった一人の母親(・・・・・・・・)だったのだから。

けど、ママは敵。

今朝も何一つ変わらない、穏やかな笑顔。

あの笑顔の裏で、何人の子供を死へ導いて来たのか。

鬼の冷酷な配下。

じゃあなんで?

なんであんなに優しくしたの?──ママ!

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作者名:苺の花 | 作成日時:2019年6月6日 2時

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