終わらない物語 (ページ14)

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拾弐ページ14

「じゃあ、お邪魔しました」
「また来てくださいね」

次の日の朝
私たちはここを立つことにした
これ以上迷惑かけられないしね

「次どこ行くー？」
「うーん…能力者は泊めてもらえないしねぇ」
「どうしようか。…あれ？雨？」
空を見上げると、黒い雨雲が目に入る
「これは…通り雨じゃないな」
赫が言うように、これは本降りだ
やばい

数少ないが能力者のなかには雨の日に能力を使えない人がいる
そして、仕組まれたように私たち五人は能力を使えない

つまり
今能力者、一般人に襲われたら…

確実に、殺されるか拷問されるか

その事態だけは避けなくてはいけない
と言っても、絶対に無理だ
どこにいても同じだから

「どうしよう…」

私の声は雨音にかき消されてしまった

「A…これ、やばいんじゃ…」
赫に肩を叩かれて、振り返る

そこにいたのは、弓矢や刀を持った村人だった
「あ…やば…」
緑葉の顔がこわばる
葵も顔が青い
黄耆はいつも笑っているのにその笑顔が消えていた
赫は余裕そうな表情が険悪になっている

「捕らえろ！」

誰かの叫び声がして、一気に私たちに向かって矢が飛ばされた
途端、お腹に鋭い痛みが走る
そこで私の意識は途絶えた

「＿＿＿ん？」

冷たい…ここは？
暗い…どこなの？

「いってぇ…」
「赫！？」
横で何かが動く気配がした
赫だよね
「いた…」
「緑葉！黄耆は！？」
「ここ…」
後ろに黄耆と緑葉
葵は…葵はどこ？
「いったいわね！乙女の体に何してくれてんのよ！」
あ、いた

ホッと一息つく
よかった…全員いる

安心したのもつかの間

ガチャッ

檻の鍵が開けられて、一人の男が入ってきた

その男は異様な雰囲気を放っていて、私でも危ないと思う

「五人の能力者…成る程」
は？何が？
「あの噂は本当だったのか…『最強の五人組が復活した』…」

「は？」
「だが残念だなぁ…ここでお前らは消えてもらう」
「ふざけるなっ！」
何をほざいているんだ、こいつ
明日になれば！明日になればこいつを血祭りにあげられるのに！

「ま、明日殺すから、それまでしっかり遊んでやるか」
そう言って男は近くにいた葵を蹴り上げた

「葵っ！」
口から血を吐く葵
きっと蹴られた衝動で喉が切れたんだ
「止めろっ！！」
黄耆が珍しく怒っている
「うるさいなお前は黙っとけ。負け犬が」
黄耆を見ると、顔が笑っていない
完全にキレた
でも今キレたところで何も変わらない
黄耆も蹴られて終わりそれに反抗した赫も

そこで私の中の何かが切れた