好き。...嘘、大好き。【3】[佐野玲於]

私なのに ページ47

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Aside





………どうしよう、。




目の前の角を曲がることができず、その場に立ち止まった。




だって


声から予測するに、
そこにいるのは2人だけ。



そこに、こんにちは！って元気に入っていく勇気は私には無い。




それでも、その場に立ち尽くすわけにもいかず、恐る恐る角から少しだけ覗いてみる。




玲於｢俺、隼に飲み物パシられたんだよね。｣


夏希｢うわ、隼に？笑｣


玲於｢そ。だから、お汁粉買ってやろうと思って。｣


夏希｢1番いらないわ、それ。笑｣




自販機のそば
飲み物買おうとすれば、否が応でも声をかけざるを得ない位置。


ちょうど、ほんとにちょうどいい位置で談笑してる。




ふたりとも笑顔浮かべて、親しそうで。



そんなふたりの様子見てると、胸が苦しくなって。




1度覗くのをやめて、壁にもたれ掛かった。




……早く、立ち去ってくれないかな。



気がつけば、そう願っていて。




だって、特別な雰囲気、なんだもん。



ただの仕事仲間や、友達では感じないような、親しさが滲み出てる、そんな雰囲気。



夏希さんの、自己紹介の時の笑顔と比べたら、
今の彼女の笑顔はきっと、特別な人にしか見せない表情。




夏希｢あ、ねえ、玲於。さっきやったこの振りなんだけどさ…｣


玲於｢ああ、それは、…｣




談笑してると思えば、今度はダンスの話。


身振り素振りしながら、ふたりで振りを確認してる。




夏希さんのパートナー、亜嵐さんじゃん。


なんで、玲於くんと確認なの？



玲於くんのパートナーは、私なのに。





どんどん、どんどん、胸が黒く染っていくのを感じる。




A｢……参ったな…｣




明らかに、ヤキモチ。


些細なことで妬いてしまった自分に呆れた。





……水は、次の休憩にしよう。




そう決心して、踵を返す。




すると、振り返ったそこには。




壱馬｢A？…こんなとこで何してんの？｣





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