恋してた_3 [yuta_t]

Chapter131（yuta_side) ページ38

【yuta side】






家に帰ると
我慢できずに電話をかけた








『おかけになった番号は

現在、電源が入っていないか

電波が届かない場所に・・・』








・・・。









次の日朝もう一度電話をかけると
同じアナウンスが流れるだけだった









そのまま結局
会う事も、電話で話すことさえ
出来ないまま迎えた引っ越しの日









午前中に引っ越し作業を終えて
すぐに舞台のリハへと向かう









終わるとスマホに残った
不在着信にはあゆみの名前









どういう感情だったのか
自分でも説明が難しいけれど
この状況ですぐにかけ直す事に
迷いつつもこのまま無視する事も出来ず
電話をかけなおすと








裕太「ごめんね、遅くなって」









あゆみ「ううん・・・

私こそ電話しちゃってごめんね」









裕太「いや、どうした？」









あゆみ「・・・裕ちゃん大丈夫？

余計なお世話だってわかってても

どうしても心配で、、、」









裕太「ん？俺？

俺は大丈夫だよ」









あゆみ「・・・そうなの？

Aちゃんパリに

出発したって聞いたから・・・」









一瞬あゆみが何を
言ってるのかがわからなかった









裕太「は？いつ？」









あゆみ「え？

あっ、えーっと・・・

昨日の夕方の便で出発したって

私、今日Aちゃんのとこと

仕事だったから

・・・その時聞いたんだけど」









裕太「昨日？

・・・だって９月の二週目って、、、」









あゆみ「なんか予定より

早く行くことになったって言ってたけど

裕ちゃん、、、知らなかったの？」









裕太「・・・。」









言葉が出なかった









あゆみ「もしもし？

・・・裕ちゃん？大丈夫？」









裕太「・・・ごめん

悪いんだけど電話切るわ」









・









・









少し前までは
同じ東京にいたのに









会おうと思えば
会える距離だったのに









伝えなきゃいけないこと
たくさんあったのに









もう何一つ叶うことのない場所に
A行ってしまった









　
　
　
　
　





信じられないくらい
あっけない終わりだった

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