恋してた_3 [yuta_t]

Chapter128（yuta_side) ページ35

【yuta side】








・・・？









指輪の後ろには見慣れない箱









とりあえず指輪を取り
失くさないように指にはめて
箱を引っ張り出す









これ・・・何だっけ？









靴箱よりも小さい箱の蓋を
恐る恐る開けると
一冊のノート









手に取ってみても
全く思い出せない









何も書かれていない表紙をめくると









表紙をめくるとすぐに









このノートの持ち主がわかった









１枚のポラロイド









その写真の中にはパジャマ姿のA









余白には【おはよう】の文字









締め付けられるような気持ちで
１枚ずつページをめくっていく









【いただきます】









【ごちそうさまでした】









【いってらっしゃい】









【行ってきます】









【おかえり】









【ただいま】









【おつかれさま】









【おやすみ】









【今日も大好きだよ】









【元気だして！】









【ちゃんとごはん食べてる？】









【今日のごはんは何かな？】









【歯磨いた？】









【会いたいよー】









【がんばってね！】









【私も頑張る！】









【今日もかっこいいね】









【寒くなってきたね】









【風邪ひかないようにね】









【メリークリスマス】









【雪降ったかな？】









【今年もお世話になりました】









【あけましておめでとう】









【今年もよろしくお願いします】









【チョコもらったかな？】









【お誕生日おめでとう】









【桜咲いたかな？】









【梅雨嫌だね】









【だんだん暑くなってきたね】









【夏バテしてないかな？】







どのページにも１枚、１枚
メッセージに合わせて
表情や服を変えたAの姿









ページをめくる度に
自然と溢れる涙









次のページは写真はなく









隣同士に並んだ









東京タワーとエッフェル塔のイラスト
間にはハートマークのシール









そして最後のページをめくると









そこには









とびっきりの笑顔のA









書かれたメッセージは









　
　




『もうすぐ会えるね』








　
　
　
　
　




ダンボールに囲まれた部屋で
声を押し殺して泣いた

Chapter129（yuta_side)→←Chapter127（yuta_side)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す