にじゅうご ページ25
・
一方不死川は、産屋敷邸にいたのだった。
Aのことで、重要な話がある、と呼ばれたのだ。
(まさか、なァ……)
以前お館様から届いた手紙の内容を思い出し、不死川は拳をキツく握りしめる。
すると、スッと襖が開き、お館様とご息女が共に部屋に入ってきた。
不死川は頭を下げ、挨拶をすると顔を上げる。
「お館様、今回のご用件は……」
「鴉が伝えた通り、Aのことだよ。実はね、この前の手紙で伝えた通り、Aの元婚約者の方が、どうしてもAを引き取りたいと言っているんだ」
「説得もできなかった、と」
「そうなんだ。彼は取り敢えず実弥に会いたいと言っていてね……実弥、彼に会ってきてはくれないかい?」
お館様は、自分に全てを委ねて下さっているのだ。
鬼殺隊からAを遠ざけたいという自分の思いを汲んで、それでも彼女を手離したくないという自分の我儘を全て理解して。
「…御意」
感謝の気持ちを込めて、その言葉を口に出す。
頭を深く下げる不死川に、お館様は柔らかな眼差しを向けた。
「実弥、それとね」
去り際に、お館様が振り返る。
「Aの気持ちも、きちんと聞くんだよ」
不死川が返事をする前に、襖が閉まった。
(アイツの、気持ち……)
きっとAは、自分から離れたくないと言うだろう。
不死川自身も、出来ることならAの傍にいたかった。
しかし不死川は鬼殺隊士だ。
いつ死ぬのかもわからない。
帰って来れるかどうかもわからない。
そんな奴と共に居て、Aが幸せになれるはずがない。
不死川の中では、ほとんど結論は出ていたのだった。
・
1453人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にゃんこ - 完結おめでとうございます!すてきな世界ですね!無主ちゃんも口がたっしゃに……(おばあちゃんみたいですね)。新作見ました!面白いです! (2020年1月6日 18時) (レス) id: be5a9b4de5 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 完結おめでとうございます!まおうさん良い人で良かった! 実弥と夢主さん一緒にいられる結末で良かったです(*´ω`*)個人的に炭治郎も出てきてくれて嬉しかったです♪ (2019年12月18日 4時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
カボスプレス(プロフ) - 優しい世界ですね...ホワホワしました。いたいのとんでけ のところで思わず一緒に泣いてしまって(*´-`*) ほかのお話も読みに行きます! (2019年11月16日 11時) (レス) id: dccf658439 (このIDを非表示/違反報告)
カズハ(プロフ) - 泣きました…不死川夫婦お幸せに…まおうさんにも幸せになってほしい… (2019年11月5日 19時) (レス) id: 082d86be6d (このIDを非表示/違反報告)
よる - 面白そうだなって読んでみたらあなたの新作読んでました笑笑。それにしても、婚約者ええやつやな… (2019年10月27日 22時) (レス) id: bbe87bcae1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みーた x他1人 | 作成日時:2019年10月21日 17時