Quatre-cent-treize ページ28
「さぁ御覧なさい!
私のスペシャリテ
その真の姿を!!」
そう言い
小瓶の中身をメインの肉にかける
それは
会場のライトに反射してキラキラと輝いていて
まだ湯気の立つ温かい皿に触れたことで
少し溶けているように見えた
「どうやら煮凝りのようですが…」
煮凝り、か
魚肉、鶏肉、牛肉
様々な肉を煮ると
コラーゲンが出て、
それらは冷えると、ゼリーのように塊になる
『多分、メインが地鶏だし
使ってるのは鶏の成分だと思うけど
…香りのインパクトが尋常じゃない』
煮凝りなしでも
充分に地鶏の香りは漂ってきたのに
あの煮凝りが追加されてから
「またさらに香りが増してますわ」
『これだけ香りが充満してるんだ
風味も十分閉じ込められているはず…』
審査員のフォークが動いて
またさらに風味の増した皿を口に入れた時
「あぁ…!」
「これはーー!」
「…」
『わーお…』
またさらに一段階増した
審査員の反応
けれど
「全く…ここまで正解から外れた皿をわが娘が作ったとは嘆かわしい
確かに司と小林が認めた時点でそれなりの美味だという事は証明されたが
先に言っておくよ
どんな工夫をこらそうとも
僕はこの品を認めるつもりは毛頭ない」
「あらまぁ…頑固」
『まぁねぇ…』
この人は頑なだ
「汗水たらして必死に調理して、
いつものエレガントな立ち振る舞いは見る影もない
わが娘のそんな姿見たくはなかった」
エレガント、って
まだ高校生で持っているのも凄いと思うけど
薊さんの心配は…多分
『先、だろうねぇ』
「あの方の行動理念はそれですからね」
『でも…やり方を間違えちゃったかな、やっぱり』
人間が成長するための苦難
それをすべて排除して
守りを選べば、
確かに安寧はえられるんだろう
けれど
「確信を持って言える
この皿は真の美食とは程遠い
不純物まみれの芥でしかないのだよ!」
あんなに焦っている薊さん
初めて見たかもしれない
声を荒げた彼に対して
「お気遣い、痛み入ります
でも私はもう心に決めました
料理に自由を与えると
その為ならどんな苦難もいとわないと!!」
えりなちゃんが高らかにそう宣言した途端
ｰﾄﾞﾝ、ﾄﾞﾝ!
「え？」
「何、何の音？」
「爆発？」
会場にとどろく
まるで太鼓をたたいたような爆発音
…この音って
『あー、リオ大丈夫？』
「ま、まさか…」
ｷﾞｷﾞｷﾞ、っと変な首の動かし方をするリオに笑ってしまう
『そのまさか』
これはもう、ね
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blu (蒼)(プロフ) - ぷるさん» 「どーも!!、漸くオレの出番なんで、ちゃーんと食ってってくださいよ!」 (2021年4月28日 8時) (
レス) id: cb665f2842 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 続編おめでとうございます！これからﾜｸﾜｸして待ってます！ (2021年4月26日 7時) (レス) id: 39613b56f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：蒼 | 作成日時：2021年4月26日 2時
