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Trois-cent-quatre-vingt-seize ページ13

僕らが見上げる中
ピッと人差し指を審査員席に向けた竜胆
その指に乗っている小さな生き物


「蟻んこ」


「「「えええぇえええーー!!!」」」




もう会場は驚きの連続だよね



「なるほど、ギ酸ですか」

『そう』

「マジか、あの第二席」



蟻のしっぽから抽出されるギ酸
昨日のデュクセルの調整をしていた時
竜胆が取り出したのがギ酸で



“『おぉ、流石』


「へへっ、そりゃアタシが作る前菜にしねーとな!」”




ちゃんと、希少食材を使いこなす竜胆の皿になっている




「年よりの蟻だとエグくなっちまうんだけど
若い蟻の方が爽やかな甘味でいいんだよなー!!」




おおらかでパワフル
例えフレンチのコースと言えども
しっかりと自分を表現した竜胆の皿


やっぱり余計な事に縛られずに
料理をしている彼女は楽しそうだ



すると



「しかし、香辛料が随分面白い」



げ、



「デュクセルの苦みに、コンフィのオリーブオイルかな
随分工夫が凝らされている」



『…あちゃー』

「流石薊総帥と言うべきか…」




前に竜胆の皿も食べた事あるのかな

どうやらバレたっぽい
薊さんの質問に対して





「そりゃ勿論

アタシらにはアイツがいるからな!!」





笑顔で言い放った竜胆に、
チラリと僕に集まる会場中の視線

うーん…目立ちたくない


どうしようか迷っていると




「見に来ていたか、黒翔」

「やっほー」


『もも、斎藤』



怖くはないけれど、未だ人の目が苦手な事に気づいたのか
二人が僕の方に話しかけてきてくれた
ちなみにリオは空気を読んだのか、少し離れてくれている



「あれはお主か」

『あぁ、なるべく竜胆の要望に沿えるように考えてみたんだけど…
大丈夫かな』

「大丈夫じゃない?」



ねーブッチー、とその手をつかむもも




「死神が組上げたミックススパイス…
彼も一流の料理人だね」

「確かに、ほのかに香る苦み…
ピリッとしたアクセントがギ酸を倍増させている」



WGOの審査員の方は問題なさそうだけど



『薊総帥…あれ問題ないって事でいいの?』

「おそらくな」

「マズかったら食べないもんねー」



少し二人と話していれば


「まさしく100点、
これ以上ないほどの前菜だった」



竜胆の実食は済んだみたい

前菜はメインの為
その期待感を高めさせるもの




「おいおい!!
まだ満足してもらっちゃぁ困るぜ

なんたってメインはこれからなんだからな!!!


いっけーー司!!」




「あぁ、これが今出せる真の美食

スペシャリテだ」



次はメインだ

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blu (蒼)(プロフ) - ぷるさん» 「どーも!!、漸くオレの出番なんで、ちゃーんと食ってってくださいよ!」 (2021年4月28日 8時) (レス) id: cb665f2842 (このIDを非表示/違反報告)
ぷる - 続編おめでとうございます!これからワクワクして待ってます! (2021年4月26日 7時) (レス) id: 39613b56f2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年4月26日 2時

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