検索窓
今日:25 hit、昨日:24 hit、合計:112,640 hit

89阿部side ページ8

近くのそこそこ大きい病院の一室に柊はいた。命に関わるような怪我は無いが、精神的なショックで目を覚ましていないそう。


ガーゼで何箇所も覆われた柊はいつもの無邪気に笑っている姿とは大違いで、身体の奥底から怒りが湧いてくるのを感じた。



阿「誰がこんなことをしたんだよ。お母さん、誰が見た人はいないの?通報してくれたのは誰?何か聞いてない?」



大切な弟を傷つけられて、矢継ぎ早に質問するとお母さんは悲しそうな顔をしながらも凛とした声で「一度落ち着きなさい」といった。



母「通報してくれたのは柊の学校の子。今日の放課後に柊から助けてってメールがあったんだって。」


阿「他には何かッ」


母「亮平!」



急に大声で遮られてビクッと身体が跳ねた。



母「私は貴方のことも心配だったの!その怪我はどうしたの?今まで何をしていたの?

柊のことはその後よ。」



そうだ。柊のことで頭がいっぱいだったけど今の俺の身体は酷いことになっているんだった。

でも、いじめの事を話すわけにいかない。迷惑かけたくないんだ。



阿「友達の家に泊まってた。それでその後に喧嘩したからこんなことになったの。」


母「そんな嘘が通じると思ってるの!お願いだから言って…私もう亮平が帰って来ないんじゃないかって警察まで呼ぼうとしたのよ。」


阿「嘘じゃないよ…」


母「…柊が言ってたらしいの。『兄貴が危ない、兄貴が危ない』って。

ねえ、お母さんそんなに頼りない?」



柊が?どうして…。



阿「そんなことない。

…じゃあ、柊が起きたら話すからそれまでは何も聞かないで」



必死の訴えが通じたのか、諦めたのか、お母さんは小さく息を吐いた。



母「分かった。…その代わり、暫くは家で大人しくしておきなさい。あと貴方もお医者さんに診てもらいな。」


阿「うん。それも柊が起きたらで良い?我儘なのは分かってるけど側にいたいんだ」


母「分かった。じゃあ私は買い物してきても良い?」


阿「うん。柊のことは任せて」


母「お願いね」



部屋を出て行く母をみてそっと胸を撫で下ろした。他に何か怪我の理由を考える時間が出来たから。


母さんに心配かけたくないのもそうだし、親に言った事があいつらにバレたら写真をばら撒かれるかもしれない。そんな事されたら…本当に死ぬしかないだろ。

90阿部side→←88阿部side



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (136 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
828人がお気に入り
設定タグ:SnowMan
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年9月21日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。