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86阿部side【望むなら】 ページ5





新しいパリパリの制服に腕を通して、希望に胸を躍らせながら、念願の雪稀(せつき)高校の門を通った。

雪稀高校は都内でもトップレベルの偏差値でその生徒の9割以上がMARCH以上の大学へ進学する実績ある高校としても有名だ。

俺が目指すのは早慶上理、ここの高校なら充分狙えるレベル。しかしこれだけ進学実績の良い所なんだからどんな教育をしているのか気になるな。


なんて、中学では諸々があまり上手く言って無かった分俺の高校にかける思いは人一倍強かった。



けどそんな淡い期待も直ぐに砕かれてしまった。

人間関係もそこそこ上手くやれていた、勉強もクラスでトップ。なのに…。



ある日移動教室から戻って来た時、俺の机の上は酷い状態だった。



阿「何だよ、これ」



教科書は破かれ大事なノートもグシャグシャ。「死ね」などの暴言も恐らく油性のマジックで書かれていた。


あまりにあからさまな光景にクラスメイトも驚きを隠せずにいるようで、片付けを手伝ってくれた。



「こんなことする奴が同じ学校に居るとか許せねえ」

「俺らでやった奴見つけてやろうぜ!」

「私たちも何かあったら協力するからね!」



皆んながかけてくれたその言葉に、俺にはこの人達が居るから大丈夫だ、なんて何処にも確証が無いようなことを信じていた。


裏切らない可能性は無いのに。その時に先生が何故なんの対応もしてくれなかったのかを知っておくべきだった。

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作者名: | 作成日時:2020年9月21日 18時

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