寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ37)

今日:7 hit、昨日:24 hit、合計:112,622 hit

118阿部side ページ37

ツウっと背中に冷や汗が流れる。頭でわかってるのと実際に言われるのじゃ大分違うから。

深「でもまあ、お気づきの通り？復讐目的だけじゃここまではしてないし、それならとっくに地獄に突き落としてる。
許せない気持ちはまだまだあるし、酷い仕打ちをしてやろうかとも考えてる。

でも。なぜか9人で、このままでいたいとも思っちゃうんだ。
…だってお前ら優しいんだもん。居心地が良すぎる。楽しいし」

こっち側の立場の俺だけど、ほんの少しだけふっかの気持ちが分かった。

ある日突然、一人になってしまう苦しさ。理不尽に居場所を奪われるやるせなさ。

俺も味わった感情。

…きっと、寂しかったんだ。

それこそ五人だった頃は今以上に束縛が厳しく、外へ出るのも許してはくれなかった。復讐のために作った場所は、いつの間にかふっかにとっての新しい居場所になっていて。

そんな居場所を、もう、失いたくないから自分の見える場所に置いて守りたかったんだ。

そしてそれに気づいた今、自分のしてきたことの矛盾に戸惑っている。

やっとハッキリ分かった。
なら、俺ができることは。
しなきゃいけないことは＿＿＿。

阿「ふっかがしたいようにすれば良いよ。試すような事をしたって良い。きっとその時俺らはふっかの望むように動くし、9人でいることを選択する。
ふっかの意思が固まるまで、俺が9人を守るから。だからゆっくり考えて。

ふっかが作った場所なんだからどうするかはふっか次第だよ」

今までと何も変わらない。ただただ大切な仲間を守るだけ。