108佐久間side ページ27
向「いや『すご…』やないねん!皆んなにバレるのも時間の問題やで。来る前にやったのはバレてると思うけど。
兎にも角にも、しんどかったら誰かに相談してや。俺でもええし、他の皆んなでもええから。一回してみて、それから切るか、よー考えてみ。」
佐「いやそうじゃなくて…」
向「はいはい。きっと力になってくれるから大丈夫やで。」
康二の手当ては力が入り過ぎていていつも痛いけど、かけてくれる言葉はいつだって柔らかい。本気で俺のためを思ってくれてるという事が伝わるから、それだけで救われるんだ。
でもやっぱり、何もないのに心配かけるのは心が痛んだ。
向「もうちょいかかるけど我慢してな。」
佐「うん。」
慣れた手つきでガーゼを被せて包帯をクルクルと巻く。「湿潤療法てのもあるんやけど、結構痒いからな。傷は残りにくいけど掻いてしまったら意味ないし、佐久間くんにはやっぱりこっちのがええな。」そんなちょっとした知識も添えて。
佐「あれ…?」
向「どうしたん?」
玄関の方に向かう足音が聞こえた。そんなのは何時ものこと。だけど何か引っかかる。
佐「ラウールって今日外に行く仕事あった?」
向「え?ラウは無いはずやで、基本的に外出するにはふっかさんの許可が必要やし…」
佐「今、一人で出て行ったけど。」
向「足音で分からんか…。でも一人で出る訳無いよ。…ってさっくん⁈」
佐「追いかけよ!俺心配だから!」
自分の口から心配だなんて出てくるのに驚いた。人の心なんてとっくに失ったと思っていたのに。
向「処置の途中やけど⁈…おいっ!」
佐「ラウールのが大事でしょ!康二も早く来て!」
向「…ッ分かった!」
なんだか嫌な予感がしたから。
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作者名:霜 | 作成日時:2020年9月21日 18時