寂滅の天使は夜に笑う3 (ページ23)

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104深澤side ページ23

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プリプリしながら出て行ったラウールが部屋の扉をバタンと閉める音を聞いて口を開いた。

深「蒼くんって子、なんかあるわけ？」

阿部ちゃんは俺みたいにラウールに過保護じゃない。なら反対する理由は蒼くんという子だろう。

深「そんならちゃんと言ってあげれば良いのに」

阿「は？ふっかに何がわかるわけ？」

俺の言葉が気に障ったのか、途端に口が悪くなる。キッと睨みつけられいつものほんわかした空気との差に、少し怯んだ。

昔、この人は怒らせたらダメだと思った事があるのを思い出した。温厚な人ほど何をしでかすか分からない。

けどさ、ご機嫌を取るほど優しい俺じゃない。

深「ねえ、佐久間を仲間にする計画は順調？」

阿「何、いきなり」

深「別に～。ただ、帰ってきたばかりの翔太が、壊れても良いのかなって」

阿「翔太が壊れる…？お前ｯまさかあのこと(・・・・)言うつもりじゃ」

言いながらハッと悟ったように叫ぶ。

深「阿部ちゃんも大変だねぇ。この九人の居場所を守るのに必死で。でも俺が一つ行動を起こすだけで、全部が変わるよ？阿部ちゃんはそうやって動揺することしか出来ないで。

所詮、その程度なんだ」

なあ、阿部ちゃん。

阿「なんだよそれ。"アレ"も俺を試すためにやったのか？」

俺はな。

阿「何がしたいんだよ！」

お前らが大嫌いだ。

深「…俺は何がしたいと思う？」

阿「んなこと知るかよ。だから聞いてる。」

でも。

阿「…ふっか？」

深「ごめん、頭冷やしてくる。」

久しぶりのこの感覚。目が熱い。

なんで俺泣きそうになってるんだ…？

阿「ちょっと…待てよ！」

慌てて出ようとする俺の腕を阿部が掴んだ。振り解こうとしたが案外力が強い。

そういえば「大切な人を守りたい」って鍛えてたんだっけ。びくともしないその強さに抵抗するのはやめようと諦めた。

こんなとこ、見られたく無いのに。