99阿部side☆ ページ18
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俺が我に返ったのは、もう目の前のかたまりはピクリとも動かなくなっていたころ。血生臭い匂いが部屋に充満していて、軽く咳込んだ。やったんだ、やりきったんだ。もうこれで柊はこいつらに襲われる心配は無くなった。
ほら、兄ちゃんだってやれば出来るんだ。柊のためなら何だって。
阿「…くそッ」
なんで、なんでだよ。
阿「グスッ……うあああぁぁぁ!!!!」
自分でやってしまった事じゃないか。ならなんで、なんでこんなに苦しいんだ。
硬く握った拳を床に叩きつけた。目からは止めどなく涙が溢れて地面を濡らした。
これが終われば何が待っているかなんて分かっていた。それでもやらなければならなかったし、けどやってはいけなかった。
心が悲鳴を上げている。全身が熱を帯びて叫んでいる。限界だ。もう、終わりだ。
さようなら、柊、みんな。
こんな犯罪者とは一緒に暮らせないし、犯罪者の家族にはさせない。
…願うならば、みんなに幸せな未来が待っていますように。
儚い思いを両手に抱え、天を仰ぐ。外では風がゴウゴウと吹いていた。
___そういえば、嵐が近づいているんだったっけな。
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作者名:霜 | 作成日時:2020年9月21日 18時