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95阿部side ページ14

何故、どうして。そんな疑問ばかりが頭に浮かんでくる。

柊が何も悪くない事は確か。なら…


答えは一つしか無いじゃないか。あいつらと、俺のせいだ。



ここ最近、ぼんやりとしていた意識がどんどんクリアになっていくような気がした。

痛みも辛さも何もかもから放たれたように身体も軽い。


その足で柊の病室に戻った。



柊「兄貴、聞いた?」


阿「うん。でも大丈夫だよ。兄ちゃんがどうにかするから。柊は何も心配しないで」


柊「いや、俺は大丈夫だから」


阿「こんな兄ちゃんでごめんね。じゃあね」



自分の事も弟の事も守れないような兄貴でごめん。

でも、もう情けない俺じゃない。

何も出来ない俺じゃない。



こんな事をしたあいつらが許されて良い筈が無いだろ。徹底的に、潰してやる。



とは言っても、学校は相手にしてくれないだろう。もしも証拠の映像を持って行っても。

本人達に話をつけようにも通じる相手じゃない。



なら、手は一つ。

俺が自ら、あいつらに罰を与えるんだ。





何が一番あいつらにとって苦痛なのか、ひたすらに考えた。

そして家に帰って、思いつくものを全部持って、大事な物も全部持った。


ただただ怒りに身を任せた俺の目には、もう光なんて宿っていなかった。


もう、前には戻れないんだから。
失われた柊の左目のように、当たり前のものは全部全部幻だった。


志望していた大学に入る未来も、家族で食べる夕飯も、柊が運動部に入る事も、父さんや母さんが抱きしめてくれる事も、友達と遊びにいく事も、幻。


どんなに望んでも、もう絶対に叶えられない。



それでも良かった。

柊を傷つけたことを許せる程、脆弱な俺じゃない。

何もかも失ってでもこの制裁を、あいつらに与えてやろう。




阿「俺と同じ苦しみを、あいつらも味わえば良い」

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作者名: | 作成日時:2020年9月21日 18時

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