94阿部side ページ13
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ドラマとは違い、明るい雰囲気の部屋。その端に置かれた机に対面で座ったお医者さんは重々しく口を開いた。
医「まず…命の心配は要りません。」
阿「そうですか…」
なんだか含みのある言い方に嫌な胸騒ぎがする。
医「打撲は多いものの適切に治療をすれば殆ど痕も残らないでしょう。ですが…」
阿「ですが?」
いやだ、聞きたくない。
頭の奥で警告音が鳴り響く。
医「大変申し上げにくいのですが、柊さんの左目は全く見えていない状態です」
阿「え?」
ガツン、と頭を殴られたような衝撃だった。目が…全く見えていない?
阿「目が…。それって今後回復するって事は…?」
医「限りなくゼロに等しいです」
阿「そんな…。嘘ですよね?それじゃあこれから一生片目しか使えないって事じゃないですか。スポーツとか出来なくなるかも知れませんよね?」
医「日常生活は片目でも送ることはできます。ただ阿部さんの仰る通り、距離感を捉える事が難しくなり球技のような物は難しいかと。」
阿「なんで…なんで柊が…」
医「ご家族の方も辛いかとは思いますが、一番大変なのは本人です。どうか、支えてあげて下さい。こちらも心療内科を手配させて頂きましたので、出来る限りのサポートを致します」
阿「…は、い」
まだ、13なんだぞ、柊は。
あいつらの身勝手なストレス発散なんかの為に、犠牲になるなんて。
お医者さんからの言葉に返事をしたは良いものの、あまりのやるせなさと憤りに俺は暫く動く事が出来なかった。
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作者名:霜 | 作成日時:2020年9月21日 18時