4:絶対やばい人 ページ4
「え。」
「これ、あなたのですよね、?」
「…そうですけど、」
その男の人の手に握られていたのは、ちょうど一週間前、あの最悪な金曜日に私が駅前のゴミ箱に捨てたはずの紙袋だった。
あの日、捨てたときと同じようにぐちゃぐちゃになった紙袋が目の前で揺れている。
「大事なものなのかな、と思って」
その男の人はそう言うと、もう一度紙袋をぐいっと前に突き出した。
「いらないから捨てたんで。せっかく拾っていただいたのですが、もうそれ必要ないので」
「でも、これブランド物じゃ、」
「私はいらないので。あなたが適当に捨てるなり売るなり好きにしてくださって構いませんよ」
これ以上関わってもいいことなんてない。
じゃ、とその場を立ち去ろうと振り返った体をまた家路の方向へと向き直したところで思い切り腕を掴まれた。
「あの、!」
「離してもらえません?」
「勝手にどうこうは、俺の性格上出来そうにないので、」
「はぁ?」
「だから、ちょっとだけ話をしませんか」
理由を聞いてそれで納得してからどうするか考えたいんです、とその男の人は言った。
この人、やばい人だ。
絶対やばい人。
そう思うのに、なぜか私はこう答えていた。
「聞いて後悔しても知りませんよ?」
.
944人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もえぎ | 作成日時:2021年9月15日 22時