21:根に持ってるじゃん絶対 ページ21
「いらっしゃいませー」
お店のドアをくぐると、この前と同じ明るい声が私たちを出迎えた。
慎太郎さんは、私の顔をみると、目を大きく見開いた。
「あ、この前の」
「どうも」
ペコリと頭を下げると後ろに立つ京本のほうへと視線を向ける。
「彼氏さん?」って口パクで言うから、違うと首を横にブンブン振ると、何やら意味深な笑みを浮かべて「よかったぁ〜」なんて言うから意味が分からなくて首を傾げる。
「空いてますか?」
「そりゃもう選び放題」
お好きなところどうぞ、と言われたので適当な席に座る。
あたりを見渡すと私たち以外にもパラパラとお客さんの姿は見えるものの大盛況という感じではなさそうだった。
「なにここ、行きつけ?」
「ううん、2回目」
「マジかよ」
信じらんないみたいな顔されたけど、知らないふりをしてメニューをパラパラとめくる。
焼き鳥も美味しそうだし、一品料理もいいなぁ
「飲み物決まりました?」
ひょこっと顔を覗かせた慎太郎さんがニカッと笑う。ほんと太陽みたいに笑う人だな、この人。いるだけでその場が明るくなる。
「えーっと、ビー…」
ビールって言おうとしたら京本に思い切り睨まれた。
お酒は今日は飲むなってことか。最悪。
「ウーロン茶で」
私がそう言うと俺も同じのと京本が続く。
あとは適当に何か頼もうとメニューをみるけど、どれも美味しそうで悩む。
「おすすめってあります?」
結局、決めきれず慎太郎さんに尋ねると慎太郎さんは「そうっすねぇー」と少し考えたあとで、「これと、これっすかね」とメニューを指さす。
指されたものを見ると、なんか違和感、というか、なんか。
「あの、もしかしてなんですけど」
「はぁい?」
「メニューの中で高いやつばかり言ってません?」
「…あ、バレました?」
てへっ、っておちゃらけた表情を見せた慎太郎さん。
いや、当たっちゃったし。
この前、ウーロン茶しか頼まなかったのちょっと根に持ってるじゃん、絶対。
やっぱり陽キャ怖い。
おすすめを適当にお願いするとさわやかな笑顔を残して慎太郎さんは去っていった。
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作者名:もえぎ | 作成日時:2021年9月15日 22時