18:のこのこ ページ18
「はぁ?!それでのこのこ男についてったわけ?!」
京本の綺麗な顔が思いっきり歪む。
ありえない、危機感がない、考えられない、なんて京本は続けるけど、第三者が聞いたら誤解されそうだからやめて欲しい。
っていうか現に部長がなんか怪訝そうな顔してこっち見てきてるし。
ねぇ、今、仕事中ですよ、京本さん。
京本の肩をツンツンと叩き、部長のほうへ視線を向ける。
「うわ、やべ」なんて京本はまた顔を歪めた。
「ついてった、っていうか話しただけだし」
パソコンを見ながらこそっと話す。
他はなんもしてないから、なんて言ったら「当たり前だろ」って心底呆れた顔を京本にされた。
「そんなんだったら一緒に家まで行けばよかった」
「京本、ベロベロに酔ってたじゃん。そういえば無事帰れた?」
「おかげさまで」
「じゃあよかった」
「よくない」
京本は相変わらず膨れっ面。
そんなこと言われたって私は別に悪くもないし、京本がそこまで腹を立てる理由も正直分からない。
っていうかそもそも私があのあとどうしようと京本に関係なくない?
「関係あるし」
「あ、声に出てた?」
「思いっきりダダ漏れしてた」
はぁって大きいため息をついた京本は、ゆっくりと席から立ち上がる。
京本に視線を向けると、またちょっと嫌そうな顔。
「コーヒー」
「え?」
「コーヒー買ってくるけど、お前もいる?」
「甘いやつで」
「はいはい、ブラックな」
京本はそのまま行ってしまった。
坊ちゃんほんと何考えてるのかわかんない。
だって、京本が怒るようなことなんにもないし。
松村さんとはほんとに話しただけで、それ以上は何もない。
25のいい歳した女が逆に何もなかったことのがすごくない?あ、むしろそっちに対しての怒り?
それならまぁなんとなく納得いくけども。
.
944人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:もえぎ | 作成日時:2021年9月15日 22時