2:絶対定時 ページ2
あの最低な金曜日からあっという間に1週間が経った。
あの日の出来事を忘れるためにいつも以上に仕事にのめり込んでたら、同期の京本に「お前、仕事と結婚でもすんの?」なんてムカつくことを言われたから肩パンしてやった。
隣で「女じゃない!」って京本が喚くから頭が痛くなる。
「うるさいな、」
「そんなんだと彼氏に逃げられるぞー」
そんな京本の言葉に動きが止まる。
…っていうか、京本の言う通り逃げられましたけども、彼氏。
いや、逃げられてないわ。私が逃げたんだわ、あの最低な奴から。
「え、A、もしかして、図星、?」
ドギマギする私を目の前に私以上にドギマギする京本。
まじ、なんなの、こいつ。
デリカシーないわりにそれを突いたら挙動不審になるのやめてほしい。余計こっちが辛くなる。
「逃げられてない、あんな男。むしろこっちから願い下げだわ」
「あーなんかごめん…えっと、ご愁傷様?」
「それ余計腹立つからやめてほしい」
「あーじゃぁ何がいい?こんないい女逃してバカだな、その男、とか?」
「京本に言われても白々し過ぎて腹立つ」
「なに言ってもダメじゃん!」
ごめん、京本。
でも京本のその慰め下手な感じには少しだけ救われてるよ、ほんとは。
京本、褒めるとすぐ調子乗るから言わないけど。
「傷心のAちゃんにこの京本様が一杯付き合ってあげよう」
「別に飲みに付き合ってほしいとか言ってないけど?!」
「Aの顔に飲みたいです、って書いてある」
「それ京本が飲みたいだけじゃなくて?」
「あ、バレた?」
てへっ、ってぶりっ子して笑う京本の笑い声に余計頭が痛くなる。
まぁでもこうやって軽口叩けるくらいにはなってるし、ここはもう飲んで綺麗さっぱり忘れるのもいいのかも。
「じゃ、京本の奢りで♡」
「はぁ?!ふざけんなよ、お前!」
呆れた顔した京本を無視して、仕事に向き直る。
そうと決まれば話は早い。
今日は絶対定時で上がる。
それで浴びるように酒を飲む。決定。
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作者名:もえぎ | 作成日時:2021年9月15日 22時