数センチ ページ21
静かな廊下に、少女の息と足音が良く響く。
好きな人の写真を見てると時間など忘れ去ってしまう。
誰の部屋からも音や話し声がしない。
もうみんなグラウンドに行ったんだ。
そう思っていた。
けれどその予想は見事に外れる事に。
斜め前の部屋の扉がいきなり開いたと思えばその部屋から腕が伸びてき、Aの腕を掴み引っ張られる。
A「え…!うわっ!?」
あいにくAは走っていたため勢いで止まれず、いきなり引っ張られたものだから体制を崩してしまう。
A「い、たた…」
野坂「A…」
A「ゆ……悠馬!?」
驚くのも無理はないだろう。
何故ならAが野坂を押し倒したような体制になっており、顔があと数センチで唇同士がくっつく位置なのだから。
A「ちょ…近っ」
野坂「……し…い…」
A「え、な…なんて?」
小声で途切れ途切れの声に耳をすませるA。
野坂「キス…したい…」
そういって私の肩を押し離した悠馬の顔は、いつもの整った凛々しいかおからは想像できないほど、とろんとした目で頬を紅潮させていた。
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作者名:きなこ x他1人 | 作成日時:2019年2月10日 0時